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ゴッホ展 -巡りゆく日本の夢

ゴッホと日本との関わりに焦点をあてた展覧会.京都国立近代美術館.

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ファン・ゴッホがジャポニスムの強烈な洗礼を受け,ある時期まで極端と言えるほどの日本贔屓であったことはよく知られています.この展覧会はその観点からゴッホの絵画を整理しようとしたもので,会場は次の5つのパートに分けられていました.

1 パリ 浮世絵との出逢い
2 アルル 日本の夢
3 深まるジャポニスム
4 自然の中へ 遠ざかる日本の夢
5 日本人のファン・ゴッホ巡礼

ゴッホが浮世絵版画と出会ったのはパリでのことです.それまでかなり暗い色調の絵を描いてきたゴッホが,浮世絵の構図の大胆さや鮮やかな色彩に衝撃を受け,礼賛し,やがてその特質を自分の作品にも取り込もうとしました.パート1では,渓斎 英泉の『花魁』数点と,ゴッホによるその模写,歌川広重の『名所江戸百景』や『五十三次名所図会』など,ゴッホが見たとされる浮世絵が多数.

ゴッホは浮世絵に影が描かれていないのを見て,日本ではあまりに明るく陽光に満ちあふれているために影もできないのだと思ったらしい.そのようなことはそもそも物理法則に反しているのだけれど,どうやら思い込みの激しかったゴッホは日本を極端に理想化し,それに匹敵する陽光を求めてパリから700kmほども南のアルルにやって来ました.

ゴッホが日本に関して誤解を抱いていたことの一つに,日本では芸術家が共同体を構成し,互いに支え合って創作を行っているというものがありました.確かに浮世絵は絵師・彫師・摺師などの分業体制で制作されていましたが,ゴッホの考えていたような互助組織があったわけではありません.ゴッホはそれをアルルで実現しようとして知り合いの画家たちに声をかけたようですが,結局やって来たのはゴーギャン一人.二人の共同生活はすぐに破綻し,精神不安定となったゴッホが耳(たぶ)切り事件を起こして終わります.

2.ではその時代の作品-『アイリスの咲くアルル風景』とか『種まく人』,病院の庭で見た『花咲くアーモンドの木』など-が展示されていました.陽光を求めて来たはずのアルルでゴッホが最初に見たのはめったに降らない雪で,作品『雪景色』にその光景が残されています.そしてそれらの作品への影響が認められる広重や北斎の浮世絵も多数.

3.ではゴッホとゴーギャンの暮らした家の『寝室』が有名ですね.わざと歪ませて描いているのだとばかり思っていたら,本当に窓側にいくにしたがって少しずつ狭くなる形なのだそうです.ゴッホは弟テオに対する手紙の中で,この部屋の壁やドアの色のことをやや紫がかっっていると伝えていますが,今この作品を見る限り青または水色で,おそらくはかなり褪色しているのでしょう.ここでの作品の中では,私は『オリーブ園』が好きかな.

耳切り事件とその後の入退院生活を経て,ゴッホはあまり日本のことを口にしなくなったようです.4.では蝶や花,木々などを描いた作品群を展示.一方で,ゴッホは日本の知識人の多くから尊敬を受け,巡礼のようにゴッホ終焉の地オーヴェールを訪れた日本人画家や歌人が多数いました.5.ではゴッホを看取った医師のガシェ家に残された日本人芳名録などが展示されていました.

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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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