FC2ブログ

前田裕佳 ピアノリサイタル -近現代フランスのエスキス,エスパス,エスプリ

これもひと月が経ってしまいました.エスキス(素描),エスパス(空間),エスプリ(精神)をキーワードとしつつ,近現代のフランス・ピアノ音楽をほぼ時系列的に遡る企画.ザ・フェニックスホール

20180127.jpg


ピアニストは前田裕佳.神戸大学院修了後,エコールノルマルでディプロマ授与.俊英です.演奏曲は以下.

G. ペソン 《No-Ja-Li》 2011
P. ルルー 《AMA 1》
B. マントヴァーニ 《明暗のための練習曲》 2003
T. ミュライユ 《ラ・マンドラゴール》 1993
P. ブーレーズ 《12のノタシオン》 1945, 《天体歴の1ページ》 2005

休憩

H. デュティユ 《レゾナンス》 1964, 《プレリュード》 1973,1977,1988
O. メシアン 《4つのリズムのエチュード》より 「火の島 1」 1950
F. プーランク 《3つの小品》 1929 より 「パストラル」,「トッカータ」 
M. ラヴェル 《亡き王女のためのパヴァーヌ》 1899, 《鏡》より「悲しい鳥たち」 1904-1905
C. ドビュッシー 《ベルガマスク組曲》 1890 より
     「月の光」, 《前奏曲集第2巻》 1911-1913 より 「霧」, 「月の光が降り注ぐテラス」

後半に演奏された曲は知っているものも多かったのですが,前半はまったく未知の世界で,かろうじてブーレーズの名前がわかるくらい.それも,指揮者としての演奏は知っていても,現代音楽作曲家としては初めてです.

前田自身が書いたかなり詳細なプログラムノートが配付されますが,特に前半に演奏される曲の多くはそれを読んだくらいで鑑賞の助けになったと思えるような音楽ではありません.しかし,美しく静かな音の断片がホールを漂い,また激しく強い不協和音が鳴り響く時にも,それに身をまかせているだけで結構心地よいものがあります.音楽について体系的な素養を持たない者がこの手の音楽を聴くときには,とりあえずわかろうとする試みを保留し,ただただ鳴っている音に耳を明け渡すことから始める方がよいように思います.

後半ではプーランクの曲に注目していました.この日演奏される曲の中では普段CDを取り出すことが一番多いからです.そして 「パストラル」や「トッカータ」を聴いて初めて,ピアニストとしての前田が,相当個性的というか,独特の観点で解釈を行っているのではないかと思い至りました.午前中の光の中でしか作曲をしなかったと言われるプーランクの曲が,(私の耳には)かなり異形の変化を遂げていました.もちろん1回聴いたくらいで好き嫌いは言えません.ただ,「異形」という言葉を使うのはやはり予期していたものとはだいぶ違った印象を受けたからなのでしょう.

アンコールで出てきた前田は,とてもフランクに語り,「関西のねえちゃん」丸出しで自由闊達な人柄が伝わりました.フランス現代音楽に行き着いたのは必然のように感じました.こうした音楽を聴ける機会は実際あまりなく,また集客も見込めないので,前田本人にも,フェニックスホールにも頑張っていただきたいと願います.また公演があれば必ず聴きにいくと思います.

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

choby

Author:choby
最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

カレンダー
09 | 2018/10 | 11
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
FC2カウンター