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ボストン美術館の至宝展

神戸市立博物館.これも時間が経ってしまいました.

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ボストン美術館の収蔵品による美術展は,ここにメモを残すようになって3度目です.
ボストン美術館の葛飾北斎
ボストン美術館展

今回は全体のテーマを限定せず,幅広い時代と地域にわたる収蔵品を紹介するものです.
1 古代エジプト美術
2 中国美術
3 日本美術
4 フランス絵画
5 アメリカ絵画
6 版画・写真
7 現代美術

古代エジプト美術では,数千年前の王たちの肖像や墓石に残されたレリープの断片など.ハーバード大学との鏡胴発掘調査の成果を展示しているとのことで,学術畑な関心のある人向き.中国美術では五百羅漢や龍の図など.徽宗作『五色鸚鵡図巻』はとても美しい.ほとんどが個人の設立した基金によって収集されたもののようです.

日本美術は尾形乾山/光琳,曾我蕭白,酒井抱一,喜多川歌麿など.英一蝶『涅槃図』は価値も人気も高いようだけれど,擬人化された動物なんていうのは私にはどうも...酒井抱一『花魁図』の豪奢や喜多川歌麿『三味線を弾く美人図』の洒脱はもちろん楽しめます.

フランス絵画は印象派やポスト印象派の絵画が大半を占めていましたが,それらを凌駕して魅力を放っていたのがミレー,特に『洋梨』がすごい.農民を描いた画家としての認識はありますが,静物画を多く描いたかどうかはよく知りません.しかし,果物のリアルな質感や,トリミングされたナイフの存在など,やはり傑出した画家であることが明白です.また,ゴッホの描いた『郵便配達人ジョゼフ・ルーラン』をナマで見ることができたのは幸運でした.映画『ゴッホ 最期の手紙』にも登場していた,制服に長い顎髭.並べて展示されていた『子守歌,ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人』は,ゴッホが自分の耳を切って病院に収容され,退院した直後の作品.前年に描かれた『ジョゼフ・ルーラン』との筆致の相違を見れば見るほど,すでにゴッホの精神が異様なものを抱えていたことに気付かされることになります.

アメリカ絵画はまったく未知の領域.18世紀に活動したエイブリーの肖像画は古典的ですが,20世紀初頭のサージェント『フィスク・ウォレン夫人(グレッチェン・オズグッド)と娘レイチェル』では,ポーズもちょっとくだけていかにもアメリカ人です.そのほか風景や人々のリアルな営みを描いた作品など.

版画ではアメリカ美術で登場したウィンスロー・ホーマーがここではエッチングで.『八点鐘』は本人による油彩画をもとにして作られています.荒天の海で船の位置を観測している二人の船員が緊張感をもって描かれています.もう一点は『海難』.おそらく遭難した船の乗組員の家族であろう二人の女性が海岸に立って沖を見ています.アドワード・ホッパーは『小帆船』,『線路』,『橋の上の娘』,『機関車』の4点.1920年代,急速に工業化が進む中で描かれた作品と知れば,画題にも納得がいきます.

写真ではまずチャールズ・シーラ-1917年の『白い納屋,壁,ペンシルバニア州バックス郡』.ニューヨークの摩天楼を採り上げた写真集などが有名だそうです.北米大陸の機械化文明と人工物に対する観察と思索を続けた人なのかもしれません.少し時代が進んでアンセル・アダムスの3点は自然の造形が対象ですが,荒涼として人を寄せ付けないような風景をクールな描写で.

最後の現代美術.ウォーホルの『ジャッキー』を皮切りに,デイヴィッド・ホックニー,サム・テイラー=ジョンソン,村上隆,ケヒンデ・ワイリー.

美術展全体としては,やはりある程度テーマがフォーカスされている方が鑑賞しやすいですね.今回は1点1点の前で頭と眼をリセットして臨む必要があり,快くもあり疲労感もありといったところ.もっとも,いつもすべてを真剣になんて見ていませんけどね.

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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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