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20世紀ハンガリーとロシアの作曲家を聴く -コダーイ,バルトーク,プロコフィエフ

「東欧・ロシア音楽の魅力」と題された演奏会.兵庫県立芸術文化センター.

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ヨエル・レヴィの指揮,ピョートル・アンデルシェフスキのピアノで,曲目は以下.

コダーイ:ガランタ舞曲
バルトーク:ピアノ協奏曲 第3番
- 休憩 -
プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」組曲

ハンガリーの作曲家と言えば,この2月にフェニックスホールでクルターグのピアノ曲を聴きました.最初の曲は,クルターグより45年ほど前の時代のコダーイです.『ガランタ舞曲』は勇壮さと哀調が渾然とした冒頭.土臭い民俗性.テンポも目まぐるしく変化し,コミカルな場面も.大小の打楽器が活躍して文句なく楽しい曲です.いったん沈んだ気分を吹っ切るような激情で曲は締めくくられます.

2曲目はバルトーク.上で触れたクルターグが同期のリゲティとともにフランツ・リスト音楽院で教わろうと期待していたバルトークですが,彼らが入学したときにはすでにアメリカへ亡命してしまっていたのでした.3曲あるバルトークのピアノ協奏曲のうち,そのアメリカ亡命中に作曲されたのがこの第3番です.

私個人のことを言うと,バルトークについては弦楽四重奏曲群が少しわかりかけてきて喜んでいたのですが,管弦楽曲はどうも曲想の「屈曲性」みたいなものになかなか馴染めないままここまできました.実はこの第3番のピアノ・コンチェルトは録音でも聴いたことがなかったのですが,予想に反してこの日一番の大収穫曲となりました.

第1楽章冒頭が聞こえてくるなり,若き日のハービー・ハンコックやチック・コリアが盛んに録音していた即興的ソロ・ピアノ曲群の曲想が耳に蘇ってきました.安直な叙情性は排されてドライですが,にもかかわらず胸が熱くなります.ピアノは打楽器的な使われ方をする部分が多いけれど,これはジャズでは当たり前でまったく違和感はありません.

そして第2楽章の静謐さ.宗教的な香りがしますが,どこか異界的で苦悩の影はそれほど濃くありません.時々「いま弾き間違ったんじゃないか」と思えるフレーズやちょっとイラッとくる和音が現われるものの,それが独特のアクセントになっています.バルトークが病没する1945年に作曲された最後のピアノ・コンチェルトですが,諦念と言うより達観といったほうが相応しい精神で書かれた曲だと思います.

フィナーレでは再びピアノが多彩な打楽器と共演します.これがものすごくかっこいい.場面の切換えも速く,ピアノ-管弦楽-打楽器のダイナミックな対話に最後は私も脳内が沸騰しました.コンサートホールでこれほど興奮したのは久しぶりです.心の中でブラボー.大名曲の大名演でしたね.

アンコールはやはりバルトークの『3つのチーク県の民謡』.即興で弾いたような曲でしたが,現代的な歌謡性が新鮮でした.

後半のプロコフィエフ.「ロメオとジュリエット」第1~3組曲から曲順を入れ子にして抜粋演奏されました.スタートは第2組曲第1曲の『モンタギュー家とキャピュレット家』.何といっても日本では『のだめカンタービレ』の挿入曲で有名になりました.ただ,こうした魅力的なテーマがあるにはあるものの,どうしてもバレエ曲というのは純粋音楽としての密度感に欠ける気がして,私はラヴェルの『ダフニスとクロエ』全曲版などを聴いてもすぐに退屈してしまいます.これらと比べると,やはりストラヴィンスキーの3曲は抜きんでて素晴らしいと思います.

アンコールはチャイコフスキーの「白鳥の湖」より『ハンガリーの踊り』.

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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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