松方コレクション展

川崎造船初代社長で,神戸に縁の深い収集家である松方幸次郎の美術コレクション展.神戸市立博物館.

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松方が1916年から1927年にかけての数回の渡欧で収集し日本に運んだ1300作品ほどと,購入したものの関税の問題でフランスに留め置かれた370作品ほどのうち,101点が展示されています.またこれ以外にも,フランスに流出していたものを松方が一括購入した浮世絵などもありました.会場の構成は以下.

1.旧松方コレクションの古典絵画・西洋家具
2.旧松方コレクションの近代絵画・彫刻 ―19~20世紀
3.松方コレクション形成時代のフランス絵画の名品
4.旧松方コレクションの浮世絵

作品点数でいえば,2.の近代絵画が会場の多くを占めていました.古典絵画では私が知っている画家の作品はありませんでしたが,ヤン・ファン・ホイエン1651年作の『オランダ風景』では,反射的にフェルメールの『デルフト眺望』を思い出しました.また,ゴッドフリー・ネラーの肖像画『カサリン』には,描かれた女性の高い品格がとても印象に残りました.

近代絵画の部はコローからスタート.何点かあったドービニーはたぶん初めて見る画家ですが,これらもちょっとコロー似です.少し他と肌合いが異なる作品として,モローが羊飼いの姿をしたジョットを描いた水彩画がありました.ジョットという画家は実を言うとこれまであまり意識して見たことがないのですが,一度きちんと押さえておかなければと思っています.

印象派や印象派風の作品も数多く展示されていました.ゴーギャンの『水飼い場』も粗いタッチが用いられていましたが,その中で牛(だったかな)はフラットな面で描かれています.生気を感じさせたい対象を際立たせるための工夫だと思います.また,とても小さな作品ですが個人的にはマリー・カザンの2点,特に『月光』が印象的でした.月の光の中でわずかに識別できる木々や家屋の色があたたかい.

ピカソの『読書する婦人』はこのコレクションの目玉の一つかもしれません.新古典主義時代の作品で,鼻や手足の指ががっしりと描かれた女性像が,まるで彫像のようです.この作品は松方が購入したにもかかわらず,重要作品と考えたフランス政府が国外に出すことを許可せず,結局現在はポンピドゥー・センターの所蔵になっっています.

同様の経緯で同じくポンピドゥー・センターに所蔵されているのが,シャイム・スーティンの『つるされた鶏』.羽根をむしられて吊されたまま放置され,腐臭を放っている鶏を描いた作品です.幼少期に目撃した体験から描かれた作品で,それを聞けば陰惨な気もしますが,絵画として見る限り美しいと言えなくもない.画家は痛々しい体験をこうした作品を描くことで乗り越えられたのでしょうか.

初めての画家の作品にも数多く出会うことができ,京都でのダリ展のハシゴの後遺症も癒えたようです.松方が収集を行っていた当時のフランスでは「マツカタは甘く通俗的な作品を数多く収集した」と陰口をきかれたこともあったらしい.確かに保守的作品が多いとは言えるかもしれませんし,まあ2000点も選べば,中には感心しない作品も入っていたかもしれません.でも,仮に私が無制限にお金を使っていいから100年後に立派な美術展を開ける作品を収集しなさいと言われたら? そんなことを考えながら博物館をあとにしました.


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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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