ベルギー近代美術の精華展

姫路市立美術館の収蔵品を中心に.

2010826.jpg


今年は,日本とベルギーが外交を始めて150周年ということで,そう言われてみればあちこちで記念イベントが行われているようです.まあ150周年は私にはどちらでもいいのだけれど,ちょっと変わった切り口の美術展が開かれるのは歓迎です.4部構成での展示でした.

1章 いま見えているこの世界: レアリスムから印象派へ
2章 幻想の世界: 象徴派
3章 あふれ出る思い: 表現主義
4章 現実を超えて: シュルレアリスム

ベルギーはフランス・ドイツ・オランダという芸術大国に囲まれているため,それらの国々で起こった芸術運動の影響を直截的に受けることが多かっただろうと思います.

1章では,まず一般の人々の生活を暗く重厚なタッチで描いた,ムーニエやフレデリックらのレアリスム絵画群.クラウスの風景画は後期印象派の影響を強く受けています.レイセルベルへの『昼寝をするモデル』はルノワールというよりもちょっとホドラーを思い起こさせるようなところがあります.象徴主義の影響があるかもしれません.

2章ではまずアンソール.この画家の作品はパンフレットにも採用されていますが,若い頃に画壇や民衆に対して向けられた対立意識は,晩年の自画像『オルガンに向かうアンソール』では解消されているようです.クノップフの女性画は美しいですが,象徴派の影響が明確な『女性習作』よりも,『ヴェネツィアの思い出』や『裸体習作』といった小品が好ましい気がしました.デルヴィルは4点.比較的若い時代の『茨の冠』は自意識の痛みでしょうか.それは20年後の『レテ河の水を飲むダンテ』では随分と穏やかになっているようです.

3章の表現主義絵画では,ベルメークの黒々と太い骨格が生命感に溢れて印象的.ただし,タイトルがないとジャガイモを掘っているとはわかりにくい.モノトーンに近いスピリアールトの作品『オステンドの灯台』は,狷介きわまる『自画像』そのもののようです.

そして最後はシュルレアリスム.マグリットの作品をこの美術館がこれほど収蔵しているのに驚きました.昨年夏のマグリット展で観た作品群に加えて,この画家の作品にはだいぶ触れたことになります.『観光案内人』など,比較的軽みがあって商業デザイン風のものは,平易である反面やや絵画的奥行きに欠ける気もします.デルヴォーの作品は,リアルな女性が幻想的に配置されますが,シュルレアリスム絵画の範疇に入るのかどうか,ちょっと微妙な気もしました.

見終わって外へ出ると,午後の強烈な陽射しを受けて,真っ白な姫路城天守閣が一際輝いていました.

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

choby

Author:choby
最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
FC2カウンター