自動車開発は“簡単”か-その2

さて強度設計です.試作車で初めてテストコースを走ったら,最初のコーナーに入ったときの荷重によって部材材料の降伏応力に達した箇所があり,そこからバキッと・・・などというようなことは,プロの設計ですからさすがにほとんど無いと思います.強度に関して問題が起こるのは,繰り返し荷重による疲労破壊です.

現代では,強度に限らず,様々な性能の評価を行なうためには二つの選択肢があります.一つは試作車での実験,もう一つがコンピュータ・シミュレーションです.

モノさえあれば,実験ができます.これが一番確実です.しかし,開発初期段階での試作というのは,クルマ自体のスペックがそもそも完全には確定していない状態で実施するので,最終的に量産金型を用いて生産ラインで作られるクルマとは結果的に結構違うことも多いのです.また,基本一品生産となるのできわめて高価です.

一方,モデル化を含んだ数値解析技術の洗練と計算機の能力の飛躍的向上により,現代ではきわめて大規模な問題の高精度なシミュレーションが可能になりました.計算機モデルがいったん完成すれば,様々に条件を変更して模擬実験ができます.ただし,正確な計算機モデルを作成するためには確定した3DCADのモデルが必須で,そうなるとやはり実験と同じ問題が生じます.

しかし,実験でもシミュレーションでも,実はもっとやっかいな問題があります.それは,強度評価のためには,現実的な荷重条件の設定がどうしても必要だということです.これがいいかげんだと,何をしているのかわからないことになってしまいます.

自動車は使用される国々・地域で大きく異なった使用条件にさらされますので,各自動車メーカーはそれらに対応可能なテストメニューを(ハード・ソフトを含めて)持っています.これは一朝一夕にできあがるものではなく,経験や実績の膨大な積み重ねが不可欠です.汎用のシミュレーションソフトウェアは誰でも購入できますが,解析(実験)条件の設定や解析(実験)結果の評価は,決して他業種から参入してきてすぐにハイッというわけにはいきません.(つづく)

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