自動車開発は“簡単”か-その1

世の中ではハイブリッドカー(HV)もそれ程には普及しないうちから,電気自動車(EV)への関心が非常に高まっています.HVは依然として内燃機関を搭載しているという点で,いくら燃費がよくてもあくまでも過渡期の手段という印象があるのかもしれません.

EVの技術の根幹をなすのは電池だ,ということで,電池を制する者が次代の自動車産業のリーダーになるという意見もあちこちでよく耳にします.また,電気自動車は良質の電池とモーターが入手できれば開発できるので,従来の巨大自動車メーカーでなくても作れるのだとも.

それでは,これからは電池メーカーが中心になって自動車を作る時代が来るのでしょうか.また,それにともなって自動車産業の既存エスタブリッシュメントはすべて崩壊してしまうのでしょうか.

私は,これに関してはまったく否定的です.確かに内燃機関からモーターへという原動機の移行はあるでしょう.しかし,自動車というのは原動機だけでできているわけではありません.むしろ,原動機関単独の性能評価が実験室内でかなりできてしまうのに対して,車体構造ゃ足回りを含んだ艤装品の性能評価の方がはるかに複雑で,莫大なコストもかかるといえます.

たとえば,車体構造だけ採ってみても,最低限次の性能の達成は厳重に保証しなければなりません.

1.強度と剛性
2.衝突安全性
3.振動と騒音(最近ではNVHといってこれにハーシュネスを加えることも多い)

まず最初の強度・剛性です.自動車雑誌等で評論家と言われる人たちの発言を読んでいると,この二つの概念の意味を正確には理解していないのではないかと疑われることがあります.一言で言うなら,「強度」は局所応力に基づく破壊の起こりにくさのことを言い,「剛性」は荷重がかかったときの変形のしにくさのことを指します.

剛性アップ対策というのは強度対策よりも多くの場合簡単です.ただし,重量増を最小限に抑えながら剛性を上げるためには,入念な最適化作業が必要です.他方,壊れる壊れないという強度については局所的な構造特性に依存することが多く,ガチガチに全体剛性を上げれば壊れなくなるかというと,そんな単純な話ではありません.(つづく)

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