スウェーデン放送合唱団の無伴奏合唱を聴く

兵庫県立芸術文化センター大ホール.

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無伴奏の合唱は6月にイギリスのタリス・スコラーズを聴いたばかりですが,今回も世評の高いスウェーデン放送合唱団.演奏曲は以下.

モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス
J.S.バッハ:モテット「主に向かって新しき歌をうたえ」BWV225
アルヴォ・ペルト:トリオディオン
シェーンベルク:地には平和を op.13
- 休憩 -
ブラームス:祝辞と格言 op.109
マルタン:二重合唱のためのミサ曲

1曲目,モーツァルト最晩年の神品『アヴェ・ヴェルム・コルプス』が無伴奏で歌われると,この曲の純白がさらに透明さを増すようです.続いてバッハ.バッハの書いた6曲のモテットのうちの一曲ですが,速いパッセージでポリフォニーがやや混濁気味に聞こえました.今回は3階右前隅の席で,壁がそばにあったせいかもしれません.

これに続くのがペルト.バッハからさらに遡ったように響く瞬間があるように感じますが,精妙に構築された和声が一音進むごとに,微妙に異なった色合いの扉を次々と開けていくような風通しの良さがあります.そしてシェーンベルクの合唱曲が聴けるのもうれしいですね.演奏は困難だそうですが,最初期の合唱曲でまだ無調というわけではなく,現代曲としてはむしろわかりやすい部類に入るのではないでしょうか.

休憩をはさんで後半最初はブラームス.プログラムによると,1871年のドイツ帝国統一の祝賀行事とドイツ皇帝宣言の記念のために構想された曲とのこと.ある音楽評論家は,ブラームスの音楽は全部私小説だと言いましたが,大作曲家と認められた後はこうしたフォーマルな祝祭の場での献呈を想定したような作品もあるのですね.

最後はマルタン.キリエ-グローリア-クレド-サンクトゥス-アニュス・デイ と,伝統的なミサ曲でよく目にする構成になっているようです.作曲は1922年でれっきとした20世紀音楽ですが,美しい旋律と瑞々しい和声の進行で心に残りました.

振り返って,ペルト,シェーンベルク,マルタンといった20世紀の作曲家の作品が印象に残りました.へんな話ですが,クラシック音楽に詳しくないせいで,初めて聴く体験がたくさんできるのは歓びです.単にモノを知らないというだけのことなのですが,耳に馴染んだ音楽は,ライブで聴くときには「まさに音楽が今そこで生まれた」という印象が持てないと退屈です.そうした体験をするためには,まずもって良い演奏があるべきだし,さらに聴き手の私も耳を洗っておかなければなりません.初めて聴く時は,少なくとも知識に邪魔されることはありません.幼稚な感想しか持てなかったとしても-実際そうなのですが-それはそれで幸福なことだと思っています.



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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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