ハインツ・ホリガーの室内楽を聴く

ちょっと時間が経ってしまいましたが,オーボエの世界的名手・ホリガーが新旧の室内楽を採り上げた演奏会.いずみホール.

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クラシック音楽のグループに時々見かけるこの「~と仲間たち」というタイトル.普段なら,もうこれだけでゾッと寒気がして見向きもしません.グループの呼称が定まっていないのなら,演奏会全体のプログラミング・テーマを掲げるとか,興業企画者にはもう少し努力を求めたいと思います.これだけ名声・実力のあるメンバーを揃えたのだから,当然スリリングな丁々発止が聴けることを期待します.「仲間たち」ではいかにも予定調和的で萎えてしまいます.

しかし,そうは言っても昨年聴いてあんなにすばらしく美しかったホリガーのオーボエが再び聴けるというのだから,まあこれも我慢しなければならないでしょう.

メンバーは以下.
ハインツ・ホリガー(ob)
フェリックス・レングリ(fl)
堀米ゆず子(vn)
佐々木 亮 (va)
宮田 大(vc)

演奏曲目は,前半が
F.E.トゥルナー:華麗な四重奏曲 ハ長調 op.33(オーボエ,弦三部)
モーツァルト:フルート四重奏曲 第4番 イ長調 K.298(フルート,弦三部)
ロベルト・スーター:5つの二重奏(フルート,オーボエ)
後半は
グザヴィエ・ダイエール: ノクターン(オーボエ,フルート,弦三部)
ホリガー: Mのための子守歌(イングリッシュ・ホルン)
ホリガー: (e)cri(t)(フルート)
モーツァルト: オーボエ四重奏曲 ヘ長調 K.370(オーボエ,弦三部)

トゥルナーはモーツァルトの手紙にも登場するオーボエ奏者・フリードリッヒ・ラムの弟子とのこと.古典的で整った美しい曲.
モーツァルトがフルートという楽器をどうやら嫌っていたらしいことは,やはりその手紙でこの楽器について悪態をついていることから本当らしいと推察されます.この第4番のフルート四重奏曲は,作曲された目的がよくわかっていないとのことですが,フルートに要求されるテクニックはあまり高くなさそうなので,アマチュアからの依頼かもしれません.弦楽器が順に速いパッセージを弾いたりして,ちょっと表面的な感じ.

一転して,スーターのフルートとオーボエによる二重奏は聴き応えがある現代曲です.この日のプログラムで一番良かったように思います.フルートもフラッターを多用して刺激的な音を出します.ジャズ奏者の即興演奏のようで,そうなるとフルート担当は当然エリック・ドルフィーしかいません.ジャズではオーボエは使われないので,ソプラノサックスで代用するとすると,ドルフィーと共演実績があるのはコルトレーンだな・・・と楽しい妄想が.

後半のダイエールとホリガー自身による2曲は,もちろん初めて聴くこともあってこれを書いている時点ですでに印象が薄れてしまいました.要するによく覚えていません.最後のモーツァルト・オーボエ四重奏曲は,前半のフルート四重奏よりもはるかに音楽として充実した内容に聞こえました.ホリガーのオーボエも,キレのいい第1楽章,憂いを含んで深い第2楽章,愉悦感に満ちた第3楽章と,古典音楽の味わいを満喫させてくれました.

前回のリサイタルでも感じたように,ホリガーという人の本質はやはり現代音楽の演奏家・作曲家であって美点はそこにあると思います.今回はホリガー自身の2曲,特に無伴奏フルートの方は複雑すぎて今の私には1回聴いたくらいでは手に負えませんでしたが,スーターの二重奏曲の演奏は素晴らしかったです.

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