アンサンブル・ベルリンの公演を聴く

ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽.いたみホール.

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構成メンバーは7人.
ルイス・フィリペ・コエーリョ(第1ヴァイオリン)Luiz Filip Coehlo
ヴァルター・クシュナー(ヴィオラ)Walter Kussner
ウルリッヒ・ウォルフ(コントラバス)Ulrich Wolff
マーティン・クースクマン(ファゴット)Martin Kuuskmann
エーファ=マリーア・トマージ(第2ヴァイオリン)Eva-Maria Tomas
クレメンス・ヴァイゲル(チェロ)Clemens Weigel
クリストフ・ハルトマン(オーボエ)Christoph Hartmann

曲目は前半が
W.A. モーツァルト:オーボエ四重奏曲 K. 370 (オーボエとヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための)
W.A. モーツァルト:セレナード 第13番 ト長調「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」K. 525

休憩をはさんで後半は
G. ヴェルディ:歌劇『椿姫』第1幕 前奏曲(弦楽合奏のための)
A. パスクッリ:「椿姫」の楽しい思い出(オーボエと弦楽合奏のための)
J. ウォーターソン:「ドニゼッティの思い出」(ファゴットと弦楽合奏のための)
C. トリエベール/E. ジャンクール:ロッシーニ歌曲「アルジェのイタリア女」主題による協奏的幻想曲(オーボエ,ファゴットと弦楽合奏のための)

モーツァルトのオーボエ四重奏曲は,9月初めにホリガーの演奏会で聴いたばかり.音が出た瞬間,響きの違いに驚きました.弦が何とも言えず豊かでふっくらとしています.音量もたっぷり.一方でオーボエもエッジの丸い音.位置的に最も後ろだったためかやや遠く,ホリガーのきわめて明瞭だった音色とずいぶん違うものだなあと感じ入ります.おそらくはホールの残響時間の差が大きいのではないかと思いますが,いずみホールの方がより整理されて聞こえる感じがします.

そして2曲目の『アイネ・クライネ』.ホールでちゃんと聴いたのは初めてです.とにかくやたらとあちこちで鳴っている超々有名曲で,「よく知っている」という感覚が鑑賞を邪魔すると同時に,こうした古典的な娯楽曲がどのように演奏されれば現代人のわれわれの胸に迫るようなものになるのか,難しいところです.たぶん名演奏の達成は困難な気がします.ただ,このアンサンブルは上でも述べたように音色がとても柔らかで美しく,愉しめたのは間違いありません.

後半は一転して劇的なヴェルディでスタート.大きな感情の起伏の物語を感じさせますが,オペラ嫌いで「椿姫」のDVDは買って持ってはいるけど一度も観たことないという私にとっては,音楽に明らかな文学的コンテクストが入ってきていると感じるだけでまじめに聴く気が失せてしまいます.ここを何とかしないと,クラシック音楽の半分が理解できないのはわかっているのですが・・・ 次のパスクッリの曲は切れ目なしに演奏されました.

そしてウォーターソンの「ドニゼッティの思い出」はこの日最高の盛り上がり.とにかくファゴットのクースクマンが凄い.リズムなんてジャズで言う後ノリになっているところさえあって,クラシック的には少々破綻してるのかも知れませんが,そんなことはお構いなしにブイブイ来ます.こりゃいいぞ.まさに今音楽を創っている感がアリアリ.当然ブラヴォーかかりました.

最後の『「アルジェのイタリア女」主題による協奏的幻想曲』は全メンバーが揃って,オーボエとファゴットの二重コンチェルトのような構成.2本の管の掛け合いが次第に高揚していき,クラシック音楽ではめずらしいバトルの様相.これも楽しかったですね.

アンコールはピアソラの「忘却」.若干の冷却効果で,エンターテインメント性一杯の彼らのコンサートにふさわしいエンディングでした.

本当に楽しいコンサートだったのですが,一つだけ注文を.といっても演奏に対してではなく,プログラムのパンフレットについてです.A3二つ折りで4ページなのですが,表紙に加えて曲目は1ページ.あとの2ページはメンバーの経歴説明で,曲目に関する詳しい説明はまったくありません.それはそれでよいのですが,モーツァルトについては楽章構成すら記されていません.オーボエ四重奏曲では聴衆は楽章が終わるごとに拍手をしてしまい,特に2-3楽章はほとんど切れ目なしに演奏しようとしてオーボエが構えているのにまだ拍手が続いていて,出のタイミングがずれていました.このため,キレの良かった第1楽章にくらべて第3楽章は若干集中を欠いたように聞こえました.

クラシックの音楽会で鬱陶しいことになるのは,「拍手をしないこと」ではなく「拍手をして余計な音をたててしまうこと」に起因する場合がほとんどのように思います.今回のことは,プログラムにこの曲が3楽章で構成されることが明記されていれば防げたはずで,結局この拍手が演奏者の意図を妨げてしまいました.少し残念です.

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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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