2015年北海道ツーリング 番外編 能取岬へのアプローチと東山魁夷の『道』

なぜこんなに何度も能取岬に行きたくなるのかと考えることがあります.この岬へ行くとき林の中で灯台が真正面に見えますが,林から出ると道はいったん目標を見失ったかのように左に折れ,茫洋としたオホーツクを目前にすることになります.この瞬間の開放感と隔絶感・孤独感がないまぜになったような不思議な感覚は独特のものです.以下,何度も出して恐縮ですが.

能取岬付近


さて,東山魁夷の代表作に『道』という作品があります.以下のリンクで参照できます.

東山魁夷 『道』

おそろしくシンプルな構図ですが,そうであればこそ私はとても強い印象を持ちます.一番手前では道はほぼ左右対称ですが,先へ進むに従ってやや左へずれ,微妙な不安定感を与えます.まるで,これから先自らが進む方向が本当にこれで正しいのか? と問うているかのように.

しかしよく見ると道はそこで行き止まりではなく,右の方へ曲がっていることがわかります.構図としてはこれで少し左にずれた道と完璧なバランスがとれ,それが見て取れた瞬間,進むべき方向が示唆されて力づけられるような趣があります.最後の目標はまだ見えないけれど,とにかくそちらへ進んでゆけと.

東山魁夷がこの作品を構想したのは,八戸近郊の種差海岸であるとされています.私も2013年夏の東北ツアーでここへ行ってみました.現在ではこの絵が描かれた1950年当時とはまったく周囲の風景も変わっているようですが,当時の資料を当たるとこの位置からは鮫角灯台が見えたらしい.画家はあえてそれを描かず,描かないことでより一般性をもつ寓意-という言葉は適切でないかもしれませんが-を込めることを意図したのではないでしょうか.

能取岬のあのポイントへ行くたびに,私はこの作品に通ずるものを感じているのだろうと思います.だから曇っていても雨が降っていても行ってみるのではないでしょうか.たぶん.

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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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