サロネン指揮フィルハーモニア管のシベリウス第5交響曲

兵庫県立芸術文化センター大ホール.

20150301.jpg


シベリウスはフィンランドの風土や歴史と不可分な音楽を書いた作曲家で,演奏はやはりその音楽が生まれた文化が身についている指揮者によって行われると格別なものがあるように思います.その意味で,フィンランドの指揮者エサ=ペッカ・サロネンがシベリウスを演奏するのを聴きのがすことはできません.

サロネンの演奏を聴くのは2度目で,前回はやはりシベリウスの交響曲第2番でした.このときもフィルハーモニア管を率いて来日したコンサートを,同じホールで聴きました.

それに,今回セットになったブラコンのソリストがヒラリー・ハーンであるのも同じです.人気が高くて来日の回数も多いですが,私の知る限りハーンが日本でブラームスのヴァイオリン協奏曲を弾くのはこれが初めてで,こちらも大変期待できます.

1曲目はシベリウスの交響詩『フィンランディア』.前回フィルハーモニア管を聴いたときも,良い意味で「楽器の音がするオケだ」と感じましたが,今回も印象は変わりません.今回は中央付近の良い席が取れたので,さらにバランス良く聞こえます.ロシアの圧政に対して立ち上がり,苦闘の末最後には勝利するという,ベートーヴェンの交響曲のような文脈をもっており,最後の祝祭的な表情はコンサートの幕開けとしてもふさわしい音楽です.

そして2曲目.ヒラリー・ハーン登場.歩く姿,立ち姿がこれほど美しいヴァイオリニストを私は他に知りません.子供の頃から,ヴァイオリンと較べてどちらが自分に適した表現手段なのか迷っていたというバレエによって培われた身体であることは間違いないと思います.

ブラームスのヴァイオリン協奏曲は第1楽章が大きく,かなり長い前奏を経てソロ・ヴァイオリンが入ってくるあたりの緊張感・密度感はソリストに特別な集中を要求すると言われています.ハーンがこの曲を弾いた録音はよく聴いていて,それはハーンらしく清潔で羽目を外さない演奏なのですが,この日のライブでは一転非常に熱の入った弾きぶりでした.これまでライブを聴いたシベリウスとチャイコフスキーの時よりずっと熱く,荒々しいとさえ言える場面もあったと思います.

第1楽章末で快刀乱麻のカデンツァを聴いた後,第2楽章のアンダンテ.以前ブラームスのピアノ協奏曲第2番について書いたことの繰り返しになりますが,この作曲家は緩徐楽章において主役をソリスト以外の楽器に受け持たせるのが好きなようです.ピアノ協奏曲第2番ではチェロが美しいメロディを弾きますし,このヴァイオリン協奏曲でその役を務めるのはオーボエです.実に気持ちよさそう.

一方でソリストは気に入らないでしょうね.このパートををなぜ自分に弾かせないのかと.もちろんハーンはそんなそぶりは見せず,オーボエ奏者の方をずっと見ていました.この人は自分のソロ以外のところでは身体でリズムをとったり,後ろを振り返ったりするのが癖ですね.楽しそうでいいです.

第3楽章は快活な音楽.ブラームスも,コンチェルトにおいては交響曲やピアノ曲,一部の室内楽曲で見られるような深刻さは似つかわしくないと考えていたのか,ピアノ協奏曲第2番と共通した作法を感じます.ハーンはアンコールに応え,バッハのパルティータ3番ジーグを弾いてくれました.

ここまでちょっと長くなったので時間切れになりました.続きは次回.

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

choby

Author:choby
最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
FC2カウンター