マリオ・ブルネロ&児玉桃 デュオ・リサイタル

ベートーヴェンとショパンのチェロ・ソナタを中心に.兵庫県立芸術文化センター.

20141108.jpg


マリオ・ブルネロには2年半前のソロ・リサイタルで大変な芸達者ぶりに感銘を受けました.最初にこの人の演奏を聴いたのはもう7年前.この時はブラームスの第1番とラフマニノフのチェロ・ソナタでした.今回は児玉桃の伴奏で,曲目は以下.

【前半-ベートーヴェン】
・モーツァルト歌劇「魔笛」の“恋を知る男たちは”の主題による7つの変奏曲
・チェロ・ソナタ 第3番
【後半-ショパン】
・スケルツォ 第2番(ピアノソロ)
・チェロ・ソナタ

「魔笛」の主題の変奏曲が始まってすぐ,音量のバランスが良いなと感じました.1階席の前から14列目くらいに座っていたのですが,大ホールだから楽器を大きく鳴らそうというようなそぶりのまったくないブルネロのチェロは,しっかりこちらの耳に届いてきます.それでいておおらかな歌いっぷりは,やはりこの人の個性ですね.

ベートーヴェンのチェロ・ソナタというと,ロストロポーヴィチとリヒテルの命を削るような名演が思い出されますが,ラテンのおおらかさはここでも.人生における苦悩や苦闘といったベートーヴェンにはつきもののシリアスさはちょっと脇へ置いておいて,純粋に音楽としての美しさを引き出そうとするかのようです.

後半はショパン.数多くあるショパンの独奏ピアノ曲でこれまで私が聴いてきたのは,プレリュード,バラード,ノクターンというところで,スケルツォはほとんど聴いていないはずです.諧謔は対象の相対化を必要とする概念で,ショパンのような悲愴感がつきまとう作曲家にはちょっと不釣り合いな気もします.少なくともこの曲からは,深刻さを吹き飛ばす軽みは感じられませんね.

続いてチェロ・ソナタです.この分野ではやはりベートーヴェンの5曲(とくに3番)が圧倒的な存在感で,それ以外で私が好きなのは20世紀になってからのショスタコーヴィチやプロコフィエフの作品です.ショパンのチェロ・ソナタは何度聴いても良さがわからず,このプログラムを見たときも,「えっ,最後にショパンやるの?」という感想を持ったというのが率直なところです.

今回の二人ももちろんそうした世評を踏まえた上で,ショパンのチェロ・ソナタに現代の光を当てようとしたと思います.個人的には今回の演奏を聴いてもこの曲の価値が自分の中で上がったということはありませんが,少なくとも録音で聴いていただけの時よりは,曲の構成感や楽想の流れについて理解が進んだ気がします.

アンコールは次の2曲でした.
・ベートーヴェン ゲーテの詩による3つの歌 より第3曲 《彩られたリボンもて》
.バッハ オルガン小曲集 より《主イエス=キリスト,われ汝を呼ぶ》


コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

choby

Author:choby
最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
FC2カウンター