ハインツ・ホリガー オーボエ・リサイタル

兵庫県立芸術文化センター. 管楽器のリサイタルを初めて聴きました.

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昔ブラスバンドにいたので,管楽器類には割合触れているほうだと思います.しかしブラスバンドでは木管楽器のバリエーションは少なく,オーボエもたぶんほとんど使用されないと思います.私がいたバンドでもオーボエ奏者はおらず,したがって吹いてみた経験はおろか,触ったこともありません.木管楽器の中ではもっとも難しいとされるこの楽器が,世界的名手によってどのように演奏されるのか期待が高まります.

1曲目がプーランクのソナタ.死の直前にクラリネット・ソナタと並行して作曲された遺作です.私も好きな曲で,ラックからCDを取り出す頻度は高いです.憂いを帯びた牧歌性とでも呼べるような雰囲気で始まりますが,やがて曲は厳粛さを増し,第3楽章ではそれが悲愴感をもって頂点に達します.テンポはアーティキュレーションと一体化してかなり変化がつけられ,感情の起伏さえ感じました.

続いてはメシアンが2曲とケルターボーンの1曲.ケルターボーンの曲は日本初演とのことでした.いずれも現代音楽の範疇に入る曲で,メシアンのヴォカリーズはすっと心に入ってきましたが,後の2曲はオーボエを鳴らしながら奏者が発声したりして,クラシカルなオーボエの奏法では聴いたことがない世界が展開しました.

休憩をはさんで後半.はじめはホリガー自身の作曲したオーボエのソロソナタ.2曲と3曲目はピアノソロでヴェレッシュとホリガー.ホリガーの曲は『ガブリエルのために』から『7月14日の小花火』に変更されました.いずれもメロディを歌ったり一定のリズムを感じたり日常的な感情を感じたりすることは無理な現代曲です.音が耳を刺激し,脳内に様々なイメージが去来するにまかせます.

そして一転シューマンのロマンス.きっと有名曲なのでしょうが,私はここで初めて聴きました.ここまでの数曲が自分のj感受性を総動員する必要があったため,ロマン派の曲が来てくれるとちょっと安心します.それでこちらの気が抜けたのか,やや薄味な印象でした.もう一度聴いてみたいですね.

最後はサン・サーンスの『オーボエとピアノのためのソナタ』.明るく楽天的な表情の音楽です.サン・サーンスらしくやや外面的な気もしますが,締めくくりの曲にはふさわしかったと思います.

全体としてはプ-ランクの美しさといくつかの現代曲の鮮やかさが印象に残りました.数日前に書いた拍手の件,曲のエンディングを示すホリガーの所作がすばらしく,今回は音が鳴り止む前に拍手が起きるようなことはありませんでした.リサイタル全体の品位を保つことができるこのような奏者は希だと思います.この点でも最大限の敬意を持ちました.



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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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