死の病と向き合う態度のこと

妻の母ががんであることがわかったのが6月.余命3ヶ月との診断でした.病名は本人にも告知されました.残念ながら病状は予想を上回る速度で進行し,今月初めに亡くなりました.享年83.夏のツアーを取りやめたのはもちろんこれが理由です.

病気がわかって一月程たった7月,一度義母を見舞いました.その時はまだ自宅にいて普段着ですごし,私たちと椅子に座って会話ができていました.すでに病巣は肺に転移していたため時々咳き込んでいましたが,表情は穏やかでつらいとか苦しいといった言葉は一言も聞きませんでした.

私だけでなく,見舞った誰一人として愚痴や荒っぽい言葉を聞いていません.入院した後も,見舞いに来た子供や孫に「遅くなるから早く帰りなさい」と言っていました.私の妻はベッドに寝たきりになった母に,あまんきみこの「こがねの舟」を朗読してあげたそうです.ときどき咳をするので中断すると,「もっと読んでくれ」と言い,読み終わった後は,「いい話だねえ」と喜んでいたということです.いよいよ意識が戻らなくなる直前には,こんなにいろいろな人に会えて幸せだと繰り返していたそうです.

50歳まで外で働いていましたが,その後は家庭に入り,ごくごく平凡な人生を送った人です.しかし死の間際のこのような自然で品の良い態度を見聞きすると,わが身内ながら市井にこそ気高い精神があるのだと思わないわけにいきません.自分はこんな風にあとの者の記憶に残ることができるのか? とても今の自分にはそのような品性は備わっていないというのが正直なところです.



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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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