白石加代子 「百物語」 最終回

舞台女優の白石加代子が1992年から続けてきた朗読「百物語」が最終回を迎えました.兵庫県立芸文センター中ホール.

20140721.jpg

前半第98話は三島由紀夫の「橋づくし」,後半第99話は泉鏡花の「天守物語」.三島の方は「怖い話」かどうかは微妙です.「天守物語」は鏡花らしくグロな場面もありますが,そこが恋愛物語と交錯するところが真骨頂です.「百物語」は第99話が最後となるのは定石通り.

私はこのプロジェクトが始まってまもなく,一度だけ見に行ったことがあります.その時は舞台装置も全くなく,白石は舞台上にしつらえられた一カ所に座ったまま動かずに台本を読んでいました.まさに「朗読会」であったわけです.あれから20年が経ち,舞台の様子は一変していました.シンプルとは言え舞台装置があり,それが話の進行に合わせて刻々と変えられていきます.そのために二人の黒子(たぶん女優さんだろうと思います)が付き,白石ときわめて緊密な連携をとって舞台を進めます.

白石は台本を持って読んでいますが,舞台上を話の進行に合わせて自由に動きます.台本を読むという行為がなければ「白石加代子一人舞台」となって,朗読ではなく演劇になるでしょう.しかし見ている限りでは舞台はもはや身体性がなければ成立しないようになっており,朗読か演劇かという境界はもうほぼなくなっていると感じました.

こういったプロジェクトは,続けているとだんだん末梢が削ぎ落とされていくかと思いきや,表現はますます濃く,抑揚の大きいものになっていました.これも演者の個性なのでしょうね.しかしまあそんなことはある意味どうでもいいことで,白石の至芸によって浮かび上がってくる幻想に身を任せていれば,原作をより深く体験できることは間違いありません.この舞台はこれで完全に終わりではなく,人気のあった話を採り上げて再演するようなことも考えられているようでした.

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

choby

Author:choby
最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
FC2カウンター