下野竜也 「シューマン&ブラームス プロジェクト」 第4回公演

最終回です.6月21日(土),兵庫県立芸術文化センター.

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曲目は前半がブラームスのヴァイオリンとチェロの二重協奏曲,後半はシューマンの交響曲第1番です.ソリストはヴァイオリンが21歳と若い三浦文彰,チェロは山上薫.

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まずはブラームスですが,独奏楽器が複数あるコンチェルトというのはそもそも数が少ないし,あってもあまり良いものはないといのが印象でした.ベートーヴェンの三重協奏曲にしても好んで聴こうとは思えないもので,これはやはり作品の成立過程に特定の演奏者が想定されていたりして,作曲者の内的要請よりもその奏者の個性や技量にあわせることが優先された結果ではないかと推察します.

もっともモーツァルトのように,請われるままにホイホイ書いて楽譜を渡したものの中にも数多くの神品が含まれている例もあります.作曲者の主義主張が最優先されなければだめだということはないのだとは思います.

話が逸れましたが,そういう偏見もあってか,録音で聴く限りこのブラームスの二重協奏曲もこれまで好ましいと感じたことはありませんでした.ヴァイオリンの陰に隠れてチェロはいるのかいないのかわからず,独奏楽器として前にいる必然性が理解できなかったのが偽らざる感想です.

しかしその印象はライブを聴いて少しかわりました.ヴァイオリンの三浦の才気あふれる演奏と,視覚的な助けがあってチェロが今何をしているかがよくわかったことで,特に第1,第2楽章はやはりまぎれもなくブラームスの音楽であるとよく理解できました.

後半のシューマンの交響曲第1番は,以前ここで採り上げたことがあります.下野の指揮はクレンペラーに劣らず立派なものでしたが,第1楽章は悠揚迫らぬファンファーレから次第に加速して中盤は相当早いテンポだったと思います.おそらくPACオケは限界に近い挑戦だったのではないでしょうか.

この曲ではトロンボーンがかなり活躍しますが,各奏者音を割ってどんどん前面に出てきます.テンポといい金管楽器の使い方といい,このあたりが今回シューマンの全交響曲を採り上げるにあたっての下野の独自性なのかもしれません.充分に聴き応えのあるものでした.

アンコールはもちろんトロイメライ.最後のバージョンは痛切な惜別の歌となって観客の胸に迫りました.


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