ボストン美術館の葛飾北斎

神戸市立博物館 .
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北斎の「富嶽三十六景」とか「百物語」は知っていても,その活動の全貌を把握しているかというと,とてもそうは言えません.何しろ画家としてのキャリアは70年です.今回,140点もの北斎とその関連作品がボストン美術館から里帰りしてきたということで見にいきました.

展覧会の案内には「まるで今刷られたよう」とあります.確かに保存状態は大変良く,鮮やかな色彩が保たれている作品が多いのですが,そこは200年前の木版画.製作された当時はもっとずっと彩度が高かっただろうと,頭の中で画像補正をかけながら鑑賞することになりました.

私の中では「ポップ・アート」という言葉は普段決して肯定的には響かないのですが,本当に優れたポップアートがあるとすれば,それはこのようなものであろうと思える作品が北斎にはたくさんあります.有名な「浪裏」にしても,誰が見てもわかりやすく,かつ鮮烈で刺激的.しかも構図にはきわめて幾何学的な意図が隠されている.

娯楽性も抜きん出ています.組上絵(くみあげえ)というのは初めて知りました.A4くらいの大きさに刷られた部品を切り抜いて組み立て,立体的な空間を作って楽しむのです.題材は神話あり当時の風俗ありでバラエティ豊かなものだったようです.そこにリアリティある空間を現出させるために北斎は全力を注いでいて,どうせ切り取って使う遊び道具だというような手抜きはありません.

初めて見る珍しい作品が多く,興味が尽きませんでした.昔風に言えば,とらわれのない自由な精神に触れられて愉快だったというのが当たっているかもしれません.

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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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