グラント・グリーン 「ソリッド」

グラント・グリーンがマッコイ・タイナー,エルヴィン・ジョーンズというコルトレーンカルテットのリズムセクションと共演した録音に,先日書いた「マタドール」の前,1964年のセクステット編成のアルバムがあります.

 
ソリッド+1
ジャズ
1. Minor League
2. Ezz-Thetic
3. Grant's Tune
4. Solid
5. The Kicker
6. Wives And Lovers

フロントにはグリーンの他にアルトのジェームズ・スポルディング,テナーのジョー・ヘンダーソンという当時売り出し中の新主流派が起用されています.1曲目,屈曲したテーマに当時の傾向が顕著なデューク・ピアソンの“Minor League ”ですが,明快で敏捷なスポルディング,くぐもった音色と不器用な語り口が何ともハードボイルドなヘンダーソンに痺れます.グリーンのソロも引き締まっていてホーンとの連携が取れている.いやあこれはいい.

2曲目はジョージ・ラッセルの有名な難曲“Ezz-Thetic”です.ラッセルが1961年にドン・エリスやエリック・ドルフィーという先鋭的な奏者を迎えて録音したこの曲を,グリーンのリーダーアルバムで採り上げるというのはやはりとても挑戦的なことだったと思います.演奏もラッセル等のオリジナル程ではないせよ,いつ破綻が来ても不思議はないという緊張感に満ちていて,それが爽快です.

また,「マタドール」ではフロントに1本のギターがあるだけだということでやや遠慮がちになってしまった感のあるエルヴィンとマッコイですが,ここでは強力な2本のホーン奏者がいるのでほとんど手加減なしと思えます. まだ先へ,もっと前へと背中を押し続けるエルヴィンとマッコイによって,各ソリストは間断なく前進を促されます.

3曲目以降(オリジナルLPではB面)はリラックスした雰囲気になります.CD発売時に追加されたボーナストラック“Wives And Lovers”を含め,当時のジャズファンにとってはこういったやや保守的な曲も録っておかないとアルバムセールスが期待できないと判断されたのだと推察します.しかしこのメンバーで録音したことの意義はA面の2曲に集約されていて,これがなければ退屈なものになったことでしょう.

結局のところこの音源は,マイケル・カスクーナによって1970年代末に発掘されるまで,リリースされずに倉庫に眠ったままでした.カスクーナ自身がCDの解説で書いているように,やはり当時は「売れるグリーン」というのはオルガントリオでブルース色の強い曲を演奏するようなイメージだったのでしょう.でもおそらくはブルーノートで録音したことが幸いして日の目を見ることになりました.

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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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