グラント・グリーン 「マタドール」

もうだいぶ前になりますが,マーティ・ペイチを入手したときに理髪店で聴いたジャズ.グラント・グリーンの「マタドール」について書いておきます.

 
Matador
ジャズ
1. Matador
2. My Favorite Things
3. Green Jeans
4. Bedouin
5. Wives and Lovers


アルフレッド・ライオンに「寵愛」といっていい程の評価を受けたグリーンは,R&B出身のソウルフルなプレイをするギタリストとして登場しました.60年代初めからブルーノートで立て続けにレコーディングを行い,年間3作くらいのリーダーアルバムがリリースされたこともあります.紛れもなくブルーノート・レーベルを代表するギタリストの一人でしょう.

このアルバムはそんなグリーンが1965年,ジョン・コルトレーン全盛期のカルテットを支えていたエルヴィン・ジョーンズとマッコイ・タイナーを迎えて録音したギター・カルテット編成のアルバムです.いわばコルトレーンカルテットのギター版ともいうべき挑戦的な試みと言えるでしょう.

そんな構成ですから,必然的に曲の選択や演奏もコルトレーンカルテットを強く意識したものになっています.2曲目には“My Favorite Things”が堂々と入っていますし,他の曲でもグリーンのソロはいつになくシリアスです.

グラント・グリーンという人は,ギター弾きでありながら和音というものをほとんど使わず,シングルノートでホーンライクな演奏に徹した奏者です.楽器の機能にみずから制約をかけ,不自由と思える演奏法でジャズギターに独自の世界を開拓したとは言えるでしょう.そんな演奏スタイルを持つグリーンが,ギタリストの先達ではなく,ホーン奏者の演奏に強く影響を受けたことは疑いようもありません.そして,当時のジャズ界で最も革新的に見えたのがコルトレーンだったはずです.

しかし,やはり音楽の密度はいくら頑張ってもコルトレーンに較べるべくもありません.コルトレーン風に聞こえるのはエルヴィンとマッコイがいるからで,グリーンのソロではコルトレーンとはまったく異なる音楽が聞こえてきます.もともとポップなR&Bの人ですし,“My Favorite Things”もコルトレーンが当時目指していたような幻想的でスピリチュアルなワルツとはほど遠いものです.その代わり,グリーンの演奏には濃いファンクネスに彩られた魂があり,しつこい前奏や洗練されているとは言いにくいフレーズも,聴く程に味わいを増してきます. 結局,聴きどころはあるものの,ユニットとしての統一感には欠けるというのが偽らざる感想です.

本ディスクは,1965年に録音されたままお蔵入りになっていたのを,1979年になって発掘され日本のキングレコードがリリースしたという作品です. さしものアルフレッド・ライオンも,グラント・グリーンのソウルと,エルヴィンとマッコイが持ってきたスピリチュアルの香りを融合させえたとは思えなかったのでしょう.

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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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