データに騙されないために-その3

話を元に戻して,ダイエット法Aでは平均2.2キロ減,ダイエット法Bでは平均0.5キロ減と,数字上明らかに差があるのに,どうしてこれが「差があるとは言えない」ことになるのかです.

ここには,集められた被験者10名はあくまで「サンプル(標本)」であるという考え方があります.世にちょっとふっくら気味な女性はそれこそゴマンとおり,だからこそダイエット法などどいうものがTV番組のネタになるわけです.それらすべてのふっくら女性*全員*について,話題になっているダイエット法を試して効果を判定することは現実的に不可能なので,無作為に抽出したサンプルとして何人かを集めることになります.

おそらく皆共通して痩せたい願望を持っているとは言え,人はそれぞれ違います.基礎代謝量も個々に違うでしょうし,日常の暮らし方はそれこそ千差万別でしょう.同じ方法でダイエットをしたからといって,得られる効果が同じであるとは限りません.ダイエット法Aを実行した被験者達がたまたま効果の出やすい人達だった可能性もあり,もう一度別の10名を選び直してまったく同じ実験をやった場合,同じ平均値が得られる保証はどこにもありません.

ですから,そうした結果の「ばらつき」を考慮した上で,なおかつ十分な差があると判定されたときに初めて「二つの平均値には差がある」と言っていいことになります.もともとばらつきが小さいデータなら,同じ平均値の差でも「差がある」と言えることがあります.逆にばらつきが大きいデータなら,もう少し平均値の差が大きくても「差があるとは言えない」となることもあります.つまり,単純に平均値の差の値だけを見て,それが大きい・小さいとは言えないのです.

そこで,二つの方法の違いを単に平均値の差ではなく,次のように「平均値の差のばらつきの大きさ」で割った値を考えます. 
 
  20140121_1.jpg

つまり,平均値の差そのままではなく,平均値の差が集めたデータの持っているばらつきの何倍あるかを計算するわけです.その比の値が t で,もともとばらつきの大きいデータも小さいデータも,そのばらつきに応じて比率 を使って公平に評価してやることにするのです.

平均値の差の単位はこの場合〔kg〕であり,ばらつきの大きさは「標準偏差」で測るのでこの単位も〔kg〕です.したがって はkgをkgで割ることで計算される単位のない量(正確に言うと無次元量)であり,別にダイエット法の比較でなく新薬の効き目でも学習法の比較でも,とにかくありとあらゆる平均値の比較に使える大変便利なモノサシになることがわかります.

(続く)

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