聖書を読んだことありますか?

何か新興宗教団体の勧誘みたいなタイトルですが,キリスト教音楽の話です.

私の通っていた高校はプロテスタント系ミッションスクールであったため,聖書の内容を講義する授業があり,また授業の合間には礼拝の時間もありました.礼拝が始まる時刻を知らせるために,各教室にバッハの「トッカータとフーガニ短調」のオルガンが大音量で放送されたものでした.

私はこの礼拝の時間に賛美歌を歌うのが大好きでした.メロディはごく単純で,初見でも数小節歌えばだいたい後の見当はつきましたし,一度聴いたら忘れることはありません.生徒全員で数百人のユニゾンというのは迫力があり,歌いながら聴いていても結構感動的なものです.私だけでなく,周りの生徒達もこの時間が嫌いな者はほとんどいなかったと思います.

おそらくはそのせいで,私はキリスト教音楽(宗教音楽)に抵抗がありません.キリスト教そのものに関しては,私には二元論的に感じられるその世界観や悲壮感ありすぎの教義になじめませんでしたが,それでも高校3年間で相当な刷り込みが行われたようです.

それととともに,聖書にも触れることができ,特にイエスの言行録である4つの福音書をまがりなりにも読んでみたことは,ずっと後になって普段自分の周囲にはない文化を理解する上で役立ったと思っています.たとえば次の2枚のディスク.シュッツの「十字架上の七つの言葉」とバッハの「マタイ受難曲」.


Schutz:Musikalische Exequien/Die Sieben Worte
Jesu Cristi am Kreuz


バッハ:マタイ受難曲 BWV244



イエスは二人の犯罪人とともに十字架に架けられますが,シュッツの「七つの言葉」では,その犯罪人のうちの一人がイエスに向かって「おまえが本当にキリストなら,自分自身と我々を救ってみせろ」と罵り,それをもう一人の罪人がたしなめるという,死を目前にした人間達の苛烈なやりとりが描かれます.これはルカ伝にもっとも克明に記されている有名な場面で,極限状態の人間の真実として初めて読んだときから深く印象に残っていました.

また,バッハの「マタイ」でも,たとえばアルトが歌う痛切なアリア「憐れみたまえ わが神よ」を本当に聴きとるためには,やはりイエスの予言通り三度の否認をしたペテロの嘆きを知り,しかもそれはたとえキリスト教に無関係な異教徒にとっても普遍性を持つ状況であると気づく必要があるのだろうと思います.

救済や解放を求めるのではなく,音楽や絵画に描かれた人間の真実を知るためにキリスト教の聖書を読むのは,死んだら仏教徒として葬式が執り行われる私には「アリ」です.いかがでしょうか?


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No title

お邪魔いたします。

レビ記、と、ヨブ記を拾い読みしたことがあります。

少し長文ですみません。
私の家内が少しピアノを弾いておりまして、教会で
オルガン伴奏をしている友人のピンチヒッターを
していた時期があります。
その送り迎えの流れで、全く無宗教の私も日曜日の
集会に出席させられておりました。

その時、机に置いてあった聖書を、牧師さんが話して
いるのとは全く別のところをパラパラとめくって拾い読み
したのが、レビ記とヨブ記です。
聖書ってこんなことが書いてあるのか、と中年過ぎて
から初めて知りました。

また、家内の母方の祖母と伯母がクリスチャンで
二人とも、7年前に亡くなっておりまして、毎年イースターの
日に、奈良の教会へお参り?に行きます。
その時も、レビ記とヨブ記を拾い読みしております。
一度じっくり読んでみようと思い、自分用に買ったのですが、
結局そのままです。

あ、うちの家内、寝屋川市香里園にあるミッション系の高校にも
その人のピンチヒッターで伴奏しに行ったことがあります。

失礼いたしました。







Re: No title

コメントありがとうございます.旧約を読まれているのですね.
確かに欧米文化・思想の基盤を知るという意図なら,新約よりもむしろ
旧約(あるいはユダヤ教聖典といった方が良いのでしょうか)を押さえて
おかないといけないのだろうと思います.

私自身はここにも書きましたように主に新約,特に福音書を中心に読み
ましたが旧約はほとんど手つかずです.福音書に書かれた奇跡を受け入れる
以上に,神話の象徴性を読み解くのは難しい気がします.
旧約聖書をいちから読むのは大変ですが,西洋絵画などに現れる逸話を
探して拾い読みするようなやり方も一手かなと思っています

No title

ああ失礼いたしました。
お恥ずかしい。
そういえば新約聖書と旧約聖書があったんですよね。

聖書、というと、エデンの園や、ノアの箱舟や、十戒のような物語の
世界だけをイメージしてました。
そこは旧約聖書の世界?なんですね。

私が時々お邪魔する教会でも、旧約聖書のところではなく、
その福音書のところをお話しされているような気がします。

すみません、この流れでお恥ずかしい話を。
運動会の表彰式などで、バックによく流れる音楽、
あれも讃美歌の一つだったんですね。
これ、教会にお邪魔して知りました。50歳を過ぎて・・・・。

失礼いたしました。







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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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