ジャン=ギアン・ケラス 無伴奏チェロ・リサイタル

独奏チェロのリサイタル.兵庫県立芸術文化センター.

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ケラスについては,以前ハイドンのチェロ協奏曲の録音を採りあげました.また,アレクサンドル・タローのピアノリサイタルを聴いたときも,共に来日してTV局のインタビューに答えたりしていたこともあって,生演奏を聴いたことがあるような気になっていましたが,実は今回が初めてなのでした.

独奏チェロはマリオ・ブルネロのリサイタル以来.演奏されるバッハの無伴奏組曲は,奇しくも同じ1番と6番です.ブルネロに比べると中高域の張った音色ですが,輝かしいとまでは言えません.CDで聴くよりは暖色系でした.

そのバッハの1番.テンポを大きく揺らし,闊達さが前面に出ます.時々音が裏返ったりするのも表現の一つとして聴けてしまいます.ただし,速いパッセージで所々滑舌が悪くなるのは気になりました.1番は広々とした明るさがあり,ケラスのような陽性のチェリストに向いていると思います.重厚感は無用,わきたつような愉しさがあります.

一方の6番.高音域を多用しますが,現代チェロがもっとも伸びやかに鳴る音域よりはだいぶ上なので,緊張感を通り越してちょっと苦しげに聞こえる部分があります.もともとこの6番はヴィオロンチェロ・ダ・スパッラで弾くことを想定して書かれたとも言われています.この楽器は現代のヴィオラとチェロとの中間ぐらいの大きさの楽器で,固定用のベルトを肩にかけて弾かれます.私は7~8年前に大阪で,復元されたこの楽器によるバッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏を聴いたことがあるのですが,そのときは各曲の特質についてさほどの知識がなく,肝心の6番がどうであったか,もう記憶がありません.

さて,休憩前に演奏されたブリテンの組曲第1番.1964年に発表された正真正銘の現代曲です.バッハの組曲から約250年後の作品.私は初めて聴きます. この音楽に現代人の懊悩や不安を聴き取ることも可能かもしれませんが,そこはチェロという楽器で演奏される音楽であって,バルトークのヴァイオリン曲のように神経に障るようなことはありません.美しい場面も,肺腑に迫る場面も味わえます.一聴して私に全体が理解できる音楽ではありませんでした.早速CDを買ってみたので,何度か聴いてみようと思います.

リサイタル終了後はサイン会がありました.私たちが席から立ち,入り口に着いた時にはもうケラスがテーブルに座ってサインをしていました.演奏後こんなに素早く現れるソリストを見たことがありません.朗らかに振る舞っていて好青年ですね.


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