ヒラリー・ハーンのシャコンヌを聴く

3.11で来日が取りやめになって以来,待ちかねたヒラリー・ハーンのリサイタルです.5月16日,兵庫県立芸術文化センター大ホール.

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今回のプログラムの特徴は,ハーンが現代の作曲家に自分用として作曲を委嘱した作品(いずれも5分程度の短いアンコールピース)がちりばめられている点です.前半,それらの間にモーツァルトのヴァイオリンソナタ(K.302)が演奏されます.以前どこかで誰かが,ハーンのモーツァルトについて,ニューヨークの最新モードのようだと評していました.

そして前半最後がバッハのシャコンヌ.ゆったりと始まりますが,デビューCDでの演奏に比べると少しテンポが速くなっているようです.音の強弱もずっと強調されており,やはりこの十数年間にステージの場数を踏んでいるうちに少しずつ表現の幅が広がったのでしょう.

以前,ヒラリー・ハーンのシャコンヌについて,世界と和解している音楽だと書きました.きわめて厳しい曲ですが,ヒラリー・ハーンの演奏ではその厳格さが過度にならず,品位あるしなやかさを持って我々の胸に迫ります.今から思えば,デビューCDではその和解はともすればある種のはかなさを伴ったものであったのかもしれず,それに対して今回聴いた演奏では,知性と経験にさらに裏打ちされた堅固さが付加されたように聞こえます.

後半プログラムの中心はフォーレのヴァイオリンソナタで,その前後にハーンのための委嘱作品が演奏されます.いかにも現代音楽風の音のコラージュのような作品もあれば,誰にでもわかりやすいメロディをもったシンプルな曲もあり,初めて聴いても楽しめます.

ただ,今回のリサイタルで気になったのが,肝心のハーンのヴァイオリンの音色です.ヴィヨームを使っているのですが,過去に聴いたはずのある種の透明感が後退し,甘さのない硬質さが勝っています.この点の違和感が最後まで拭えず,「ヒラリー・ハーンを聴いた感」がいつもより少し不足した後味でした.3年ぶりくらいに聴いたので,勝手にイメージを拡大させていたのかもしれません.次回聴く時の課題ができました.

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