遺品のLPレコード

去る9月,私の叔父が他界しました.母方の叔父です.

子供の頃,私は家にいるのが嫌で嫌でたまらず,夏休みになると叔父の家に長期滞在していました.父親のいる自宅がひどく息苦しく,また都会の夏休みは楽しみが少ないことも理由でした.滞在は1ヶ月間におよぶこともあり,その意味では亡くなった叔父は夏の間私を育ててくれた恩人とも言えます.

叔父は身体が弱く,生涯一度も外で働いたことのない人でした.だからかもしれませんが,私にとっては他とはちょっと違った大人でありました.叔父の家は播州地方の里山にあり,山に入って昆虫採集をしたり,近くを流れる川で小魚を採って遊んだりと内向的な子供にとっては天国のような場所でした.昔は川の土手も今のようにコンクリートで護岸されておらず,竹林に覆われた支流に沿ってハグロトンボがゆったりと飛び交い,夕方にはヒグラシが鳴く昔のままの自然の姿が残っていました.

夜にはその地域に伝わるいろいろな伝承(狐に化かされた話とか,幽霊のよく出る辻とか)を聞くこともあり,播州版遠野物語のようでした,もちろんこれは,後になって柳田国男を知ってから持った印象です.

享年86.遺影は自分で撮った58歳の時の写真でした.病弱だったゆえ本人もこんなに長生きするとは予想していなかったと思います.

先日その叔父の遺品を整理していた親戚から電話をもらい,叔父が持っていたLPレコードを引き取ってくれないかと頼まれました.叔父がクラシック音楽のレコードを聴いているのは知っていましたし,叔父の部屋で一度だけ聴かせてもらったこともあります.100枚くらいだということなので,もちろん譲ってもらうことにしました.

送られてきた箱を開けると,叔父が自分で作っていたレコードリストが入っていました.大事にしていたんだと思います.親戚からの支援で生活していたわけで,その生活費から少しずつ貯めたお金で収集したものだと思うと涙が出ました.

レコードリストからは,オケものをだいたい網羅的に買っていたことが判ります.ヴァイオリン曲が好きだったのかなとも推察できました.供養のつもりで少しずつ聴いていこうと思います.

なお,以前一度だけ聴かせてもらった曲はハイフェッツの弾いたブルッフのスコットランド幻想曲であったと記憶しているのですが,これがどうしても見つかりません.誰かから借りていたものなのか.ちょっと不思議な感じが残りました.

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最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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