金聖響のドヴォルザーク(続き)

そして2曲目のチェロ協奏曲です.ソリストはアントニオ・メネセス.これを待ってました.メネセスはカラヤンに見いだされ,私が持っているディスクで言えば,ベルリンフィルをバックにブラームスの二重協奏曲をヴァイオリンのムターと共演した録音があるなど,大変な実力者です.


ブラームス : ヴァイオリン協奏曲ニ長調
クラシック音楽

この人は2年ほど前にも来日してN響とエルガーのチェロ協奏曲で共演しており,その模様は「N響アワー」で放映されました.私は本編は見損ねたのですが,年度末の「この1年のソリスト」の企画でその演奏の一部を聴き,派手さはないがとてもていねいな演奏と美しい音色に好感を持っていたので,今回も期待していたのです.

演奏されたドヴォルザークのチェロ協奏曲の特徴は,とにかくこれでもかというくらいの名旋律の宝庫であることです.この作曲家特有の民族性の風味もありますから,人によってはちょっとクサいという人もいるかもしれません.こんな感覚は私がジャズファンだからかかもしれません.あまりに真っ当だと照れくさくなるというか.

しかしそんなひねくれたジャスファンの心をも震わせるところが,この曲にはあります.特に第2楽章の第2主題.緩徐楽章の途中でトゥッティが来たと思ったら,その圧力に押し出されるようにしてチェロの独白が始まります.

ここの旋律は,すべてのクラシック音楽(私が知っている狭い範囲ですから)を探しても,「望郷度(?)」ナンバーワンではないでしょうか.三代続く江戸っ子でも,思わず行ったこともないボヘミアへ帰りたくなりそうなくらいです.

しかもこの旋律がそのまま演奏されるのはこの時一回だけで,二度と登場することはありません.後に出てくる時はいずれも変奏されていて,「頼むからもう一回お願い」と思い続けているその感情そのものが,実は望郷の念と相通じるという巧妙な構造.

まあこれは私が勝手にそう思っているだけなのでアテにはなりませんが,こういった若干後ろ向きの感情を表現するのにチェロほど適した楽器はないだろうと感じる場面です.

アンコールはバッハの無伴奏組曲からブーレ.オケがバックにいる時の音色とは違って,比較的小音量で柔らかい柔らかい音.同じバッハの無伴奏でも,超然としたヴァイオリン曲とは違ってチェロの場合は人間の声が聞こえます.

後半の交響曲第7番は私にとって初めて聴く曲です.ディスクも8番と9番は持っていますがそれ以外は未聴.確か「のだめ」にも,音大生が7番だったか5番だったかを聴いたことないというシーンがあったようにも思います.

音大生でも知らないくらい演奏機会の少ない曲.確かに後期の交響曲やチェロ協奏曲のような魅力的な主題に欠ける分,強いインパクトはないかもしれません.しかし私は初めて聴くシンフォニーをすぐ理解できるほどの耳は持っていませんので,はっきりしたことをここで言うのは無茶というものです.

ただ,しっかり作られて滋味を感じる音楽であることは間違いありません.この曲の入ったディスクは必ず何か買って聴いてみることになるでしょうし,好き嫌いを言うのはそれを何回も聴いた後にしましょう.

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

choby

Author:choby
最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
FC2カウンター