映画 『ターナー』
英国の風景画家ターナーの後半生を描いた作品.テアトル梅田.
ターナーの作品については,昨年神戸市立博物館で開かれたターナー展で主要作品のいくつかを観ました.また,ロンドンのナショナル・ギャラリーに関するドキュメンタリー映画にも多くの作品が登場したので,昨年は比較的触れる機会の多かった画家です.
弱冠27歳にしてロイヤル・アカデミー会員となったターナーは,間違いなく画家としての成功者です.この映画ではすでに大家として認められた後のターナーの生活を描いています.自身を美化して描いたとも言われる青年期の自画像とは異なり,ターナーはずんぐりした身体の無愛想な醜男という設定です.おそらくそれが正しいらしい.しかし映画では芸術家としての優れた言語表現能力を与えられており,疲れた友人や親しい女性にかける言葉には揺るぎのない堂々とした風格があります.
そんなターナーですが,晩年の作品には批判もあったとされ,彼をなじる芝居さえあったようです.悪評の原因は,描かれる事物の形態が年々朦朧としたものになっていったことにあるのでしょう.このことに関しては,昨年観たターナー展のメモでも書いたように,光と色彩の画家であるターナーによる野心的な実験であったと見るのが定説のようです.この当時としては前衛的とさえ言える表現だったと思われますが,こうした試みが後の印象派絵画への潮流を形成したと思うと感慨深いものがあります.
映像はまさにターナーの絵画のトーンを再現したもので,荒涼として湿度の高い原野や海岸の風景が大変美しく撮られています.挿入されるトピックスはほぼ事実として判明している事柄に限定されているとのことで,過剰な演出がない分やや素っ気ない部分もありますが,イギリス人監督マイク・リーの画家へのリスペクトが表された作品で好感が持てました.
ターナーの作品については,昨年神戸市立博物館で開かれたターナー展で主要作品のいくつかを観ました.また,ロンドンのナショナル・ギャラリーに関するドキュメンタリー映画にも多くの作品が登場したので,昨年は比較的触れる機会の多かった画家です.
弱冠27歳にしてロイヤル・アカデミー会員となったターナーは,間違いなく画家としての成功者です.この映画ではすでに大家として認められた後のターナーの生活を描いています.自身を美化して描いたとも言われる青年期の自画像とは異なり,ターナーはずんぐりした身体の無愛想な醜男という設定です.おそらくそれが正しいらしい.しかし映画では芸術家としての優れた言語表現能力を与えられており,疲れた友人や親しい女性にかける言葉には揺るぎのない堂々とした風格があります.
そんなターナーですが,晩年の作品には批判もあったとされ,彼をなじる芝居さえあったようです.悪評の原因は,描かれる事物の形態が年々朦朧としたものになっていったことにあるのでしょう.このことに関しては,昨年観たターナー展のメモでも書いたように,光と色彩の画家であるターナーによる野心的な実験であったと見るのが定説のようです.この当時としては前衛的とさえ言える表現だったと思われますが,こうした試みが後の印象派絵画への潮流を形成したと思うと感慨深いものがあります.
映像はまさにターナーの絵画のトーンを再現したもので,荒涼として湿度の高い原野や海岸の風景が大変美しく撮られています.挿入されるトピックスはほぼ事実として判明している事柄に限定されているとのことで,過剰な演出がない分やや素っ気ない部分もありますが,イギリス人監督マイク・リーの画家へのリスペクトが表された作品で好感が持てました.