BLUE MOMENT

車で旅行をしていると,日の出や日没の時間帯にはできるだけ風景のよいところにいたいと思うことになります.やはりこの時間帯に周囲の色彩がもっとも豊かに美しくなるからです.さらに言うと,太陽の出ていない時間,つまり日の出直前とか日没直後が好きです.西向きの海岸で夕日を見ている人は多いのですが,太陽が沈みきった瞬間に皆いなくなってしまいます.これはもったいない.ここからが見所なのにと思います.

毎回なんとかこの風景を写真に撮りたいと思うのですが,微妙な色合いが写し取れたという経験はまだありません.下は神戸から九州へ向かうフェリーの後甲板から5:15AMに撮ったものですが,肉眼で見ていたはずの鮮やかな絵とはかなり差があります.


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次は北海道道106号線夕来PAで7:03PMに撮ったものです.時間がたって記憶の中のイメージが美化されているのかもしれませんが,もっと鮮やかで,かつもっと微妙なものを見た確信があるのですが...

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この時間帯の風物を撮った人気の写真集に,吉村和敏の「BLUE MOMENT」があります.自然だけでなく,都市の人工物を大きく採り入れた写真も多いですが,特にベルビアで撮った写真などその彩度の高さに驚かされます.


BLUE MOMENT
書籍


ここまでの写真は撮れなくても,写真はまず「自分がそこにいる」ことが絶対条件なので,できるだけこの時間帯に戸外にいられるような旅をしたいと思います.


伊勢志摩スカイラインの朝

厳冬期の伊勢志摩スカイライン.伊勢側から登って鳥羽へ下る途中からの眺望です.

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この道ではこのポイントからの眺めが好きです.このとき気温0℃.天気は今ひとつで,空気は冷たいですが遠くはやや霞んでいました.屋根を開けるにはちょっと寒すぎました.オープンカーは冬がいいとはいえ,こういった場面ではあまり頑張りすぎないようにしています.

ヤコブセンの全集本

懐かしい本を入手しました.

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ヤコブセン全集
書籍

ヤコブセンはデンマークの詩人・小説家です.夭折したこともあって北欧作家の中ではイプセンやストリンドベリのようには知られていませんが,少なくとも私にとっては20歳前後の自分自身の心象風景を強く思い起こさせてくれる作家の一人です.

この作家のことは最初リルケの本で知りました.「自分にとって必要な書物はそんなにはないが,ヤコブセンの本はその少数のひとつである」というようなことが書かれていて興味を持ちました.大学の図書館で探してみると,山室静訳1975年出版のこの本が見つかりました.

冒頭の「モーンス」の書き出しを読み出して少し驚きました.身近な植物に関する描写が執拗と言ってもいいくらいの精緻さを持っていて,それが大変に魅力があります.巻末の解説を読むと,大学では植物学を専攻したことがわかって合点がいきました.

ヤコブセンの父はたたき上げの実務家,しかし母は南方からきた夢見がちな人であったということで,この組み合わせが詩人を生むというのはトーマス・マンの小説「トニオ・クレーゲル」そのままです.ヤコブセンは実際に自然科学と文学の間を行き来した人のようで,「種の起源」のデンマーク語訳なども手がけたということです.

しっかりした箱付きのハードバックで持って歩くには不向きな本でしたから,図書館に行って棚から引っ張り出しては少しずつ読んでいました.私が在学中,誰かが借りていたことは一度もなかったと記憶しています.何十年も忘れていましたが,ネットで古本が探せる時代になってアマゾンで検索をかけたりしていました.絶版になって久しく,時折発見できても大変に高値がついていたりして手が出ませんでしたが,今回やっと入手できたというわけです.内容は多くを忘れてしまっているので,また昔のように少しずつ読み進めてみたいと思います.


POTENZA S001 RFT

Z4のタイヤを交換しました.予定通りブリヂストンのPOTENZA S001 RFTです.

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サイドウォールにはこのタイヤのアイデンティティである冷却フィンが並んでいます.RE050よりやや剛性を落としたためパンク時の変形が大きくなり,このことに起因する温度上昇をこのフィンで緩和するとのことです.フィンの高さは2mm程度で,フィンというよりシワみたいですけどこれで冷えるんですね.

ところで肝心の乗り心地ですが,100キロほど走ってみた感想では,ニブい私たちには劇的に良くなったとは感じられませんでした.踏切の通過などで足がバタバタ暴れていたのが「あれ,そういえば多少マシかな」と思ったりしましたが,オーディオ機器を買い換えたときと同じで,投資に見合った便益が得られたことを確認したくて良くなったところを必死で探すのと似ているような気もします.

ただ,「よく曲がるようになった」実感はあります.ステアした分だけ向きが変わる感じです.新品タイヤはみなこうなのかもしれませんけど,これは気分がよいです.まあ乗り心地についてはもう少し乗ってから判断することにしましょう.

シャコンヌ

前回,シャコンヌについて我ながらやや大げさかなとも思える感想を述べました.しかし,私はこの曲を聴くといつも,これ以上一体どんな音楽が必要なのだろうと感じてしまうのも事実なのです.たった一挺のヴァイオリンのための音楽ですが,私がこれまで体験してきた感情のすべてが含まれているように思われ,しかも未知のものがまだあるよと教えてくれる.

そんな風に感じるのは私だけではないんじゃないかと思えるのは,この曲を大きく取りあげた「無伴奏シャコンヌ」という映画があったりするからです.私自身はまだこの映画を見ていないので感想を言うことはできないのですが,原題は Le joueur de violon で「ヴァイオリン奏者」ですから,かならずしもシャコンヌだけが主題というわけではなく,この曲を含むヴァイオリン曲を演奏するヴァイオリニストの演奏家の人生が主題なのだろうと思います.

この映画の音楽を担当しているのがギドン・クレーメルで,映画の中での演奏シーンで用いられるのも彼の録音だということです.CDは私も持っていて,よく聴いています.1980年録音.このときソナタとパルティータ全曲を録音しましたが,以下はシャコンヌの入ったパルティータ3曲のみの盤です.


バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番&第2番&第3番
クラシック音楽

1980年というのは,ソ連出身のクレーメルが西側に亡命した直後のことです.演奏はまさに「研ぎ澄まされた」というにふさわしく,美しいというよりも尖って近寄りがたいような気さえします.亡命という危険を伴う大決断をしたことと,この演奏内容が無関係であるはずはないでしょう.周囲の世界に対して自己の存在を刻み込んでおこうというような強い意思が感じられます.

自分をとりまく世界と対峙して自己をビルドアップしなければならないときには,このクレーメルの演奏は我々を大変に力づけてくれます.しかし,それにちょっと疲れたら,私はヒラリー・ハーンを聴きます.


ヒラリー・ハーン デビュー! バッハ:シャコンヌ
クラシック音楽

ハーン18歳のデビュー作がこれです.まだ少女とも言える18歳のヴァイオリニストが世に出るときにバッハの無伴奏を選ぶなんて,この優れた才能はなんととらわれのない精神に支えられているのでしょうか.しかも,ここでのシャコンヌの演奏は限りなく優しく,クレーメルとの対比で言うなら完全に世界と和解した音楽がきこえます.

ヒラリー・ハーンは今年5月に来日することになっていて,その時にはシャコンヌを弾くことになっています.デビュー以来十数年の活動を経てあのシャコンヌがどのように弾かれるのか,今から大変楽しみです.



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choby

Author:choby
最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

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