京都文化博物館のシャガール展

シャガール展で京都に行きました.

シャガール展2012京都

今回はロシアの美術館収蔵作品を集めています.目玉の一つが,モスクワの国立ユダヤ劇場の壁画だと思います.ロシア系のユダヤ人であったシャガールは,こうしたユダヤにまつわる作品を数多く残しています.エルサレム・ウィンドウのリトグラフ連作などもそういったものの一つですが,考えてみると私自身はシャガールの作ったユダヤ関連作品というのはあまり面白いと思ったことがありません.

今回見た壁画も,後年のシャガール特有の夢や幻想が希薄で,何となく味が薄いように感じました.劇場の壁画ということでテーマに制約があったせいかもしれません.ユダヤ人としてのアイデンティティはシャガールの創作活動に大変強い影響があったと言われますが,そういう影響を感じない作品の方がやはり私のような異教徒にはなじみやすいです.

シャガールは私だけでなく日本人には大変人気のある画家ですが,それはやはり宗教とは無縁なところでの愛・夢・幻想の世界をみんなが好きだからでしょう.今回も展示の後半は「ダフニスとクロエ」のリトグラフでした.私自身はこういったテーマの方をより好みます.

晩秋の植物園散策

週末はしばらく仕事があったり天気が悪かったりして外出できず.久しぶりに晴れた休日に晩秋の森林植物園を散歩しました.


森林植物園1


森林植物園2


森林植物園3


森林植物園4


森林植物園5


森林植物園6


森林植物園7


森林植物園8


森林植物園9


森林植物園10

情熱のピアニズム

ペトルチアーニのドキュメンタリー映画が公開されています.大阪のテアトル梅田で見てきました.

情熱のピアニズム


夭折したフランス人ジャズピアニスト・ミシェル・ペトルチアーニに関しては,以前ここに書いたことがあります.

ナイト・ブルーミング・ジャスミン
ミシェル・ペトルチアーニのこと
ミシェル・ペトルチアーニのこと(続)

ペトルチアーニのオリジナル曲 September 2nd の前奏に乗って始まる映画は,フランスの片田舎出身で二十歳そこそこの若者がアメリカ西海岸のチャールズ・ロイドに見いだされ,ライブで名が知れた後にブルーノートというメジャーレーベルからデビューし,ニューヨークに移り住む間に3人(4人か)の女性と結婚または結婚に準ずる生活をしてフランスへ戻り,最後はニューヨークへの演奏旅行中に肺疾患で亡くなるまで(享年36)を,近しい周囲の人々へのインタビューと当時の映像を織り交ぜることによって構成されています.

この映画を見た後で.私がペトルチアーニの音楽に対して持っている愛情と,ペトルチアーニ自身に対して持っている敬意とがこれっぽっちも減少したということはありません.しかし,強い音楽を生み出したのはそれ以上に強烈な個性だったことがよくわかりました.

少し意外だったのが,ペトルチアーニもまたドラッグと無縁ではなかった,あるいは本人の言葉では「相当やった」ということでしょうか.ジャズの歴史で言えば特に1940年代から1950年代,チャーリー・パーカーに代表されるように演奏の先鋭化とともにドラッグを求めるようになったジャズミュージシャンは山ほどいます.ペトルチア-ニの音楽はそういったほの暗さはあまり感じさせないのですが,やはりジャズミュージシャンのお作法に則った生活をしていた時代があったようです.

女性に関しては,「もてた」と「強引だった」が半々だった感じですね.出会ってすぐに周囲に自分の妻だと紹介してまわったり.実力のある人間がこういうお茶目さを持っていると,グラっと来る女性も多かったのかもしれません.

前にもここに書いたように,ペトルチアーニには時間がありませんでした.本人がそれを一番よく理解していたはずです.だからこそ他人の2倍3倍の密度で人生を生きようとしたあげくの生き急ぎがこういった生前のふるまいやその最期に現れたのかなと思います.ハタ迷惑なことも多かったでしょうが,それと等分に愛されもした.

上に書いたことをもう一度繰り返すと,音楽だけでなく彼の人生を知った後でも,私がペトルチアーニの音楽に対して持っている愛情と,ペトルチアーニ自身に対して持っている敬意とがこれっぽっちも減少したということはないどころか,一定の厚みをもった輪郭を持って彼の残した録音を聞けるようになったと思います.

ブラームスの交響曲録音

録音の方でいうと,ブラームスの交響曲集で私が聴いているのはクルト・ザンデルリンクの新盤です.

ザンデルリンクのブラームス全集

ブラームス:交響曲全集
クラシック音楽

どの演奏も素晴らしいですが,特に第4番の枯れた美しさは筆舌に尽くしがたいものがあります.録音は間接音を効かせたもので,使う再生装置によっては分離が悪く聞こえるようですが,私のところではそんなことはありません.まろやかな中にも必要な音はすべて聞こえてきて,素晴らしい録音と言っていいと思います.

全体としてテンポも遅く,悠揚迫らぬ大家の演奏と言えます.ですから4番などが殊更良く感じるのでしょうが,逆に第1番などでは肝心なところのティンパニもやや弱く,もう少し切羽詰まった感じがあったほうがこの曲の真価が伝わるのではないかと感じることもあります.

そんな時は,シャルル・ミュンシュがパリ管を振ったこの録音が聴きたくなります.


ブラームス:交響曲第1番
クラシック音楽

青春の苦闘があからさまに描かれているようで,一部の評論家や「大人」の鑑賞家には評判が悪いこともあるようですが,私にとってはやはり第1番はこういうダイナミズムが欠かせません.いずれの録音も私にとっては宝物の一つです.


ティーレマン+シュターツカペレ・ドレスデンのブラームス(続き)

演奏は前半が交響曲第3番,後半が第1番でした.もっとも,この組み合わせなら誰が振ってもこの順番になるでしょう.第1番を前半に演奏してしまったら後半に何をやるか,選択に困るところです.

私は第3番第1楽章の最初の音が出るのを少し身を固くして待っていました.なんと言ってもあこがれのオケです.そしてそれは私の期待を超えるものでした.私の座っていたホールの後から3列目くらいの席に,厚く濃い響きが届いてきました.座席の位置で言えば,やや全体の分離が良くない場所だったかもしれませんが,すぐに気にならなくなりました.

ティレーマンに従順にまとまって渋みのある音を出している弦楽器に対して,金管や木管は各奏者それぞれが一国一城の主的な存在感です.全体として厚みはありますが,低音楽器が特に強く聞こえてくるということはありません.

第3番はブラームスの交響曲としてはもっとも安心して聴ける曲でしょう.ブラームスの特質・美点がもっとも良く出た作品だと思います.それに対して第1番は,第10交響曲と言われることもあるくらいベートーヴェンを意識した作品で,逆に言えばブラームスとしてはかなり無理をした曲なのでしょう.それだけに完成には20年を要し,第1楽章などは曲想とともに,まさに苦闘を感じます.

休憩が終わって後半になり,いよいよその絶対音楽が始まります.ティンパニが刻むリズムに乗ってスタートする第1楽章には歌えるようなメロディはなく,第4楽章で克服されるべき困難との苦闘がいまだ解決されないまま延々と展開されます.私が持っているこの曲のどのCDの演奏よりもダイナミックで,句読点をはっきりさせるような場面が随所にありました.

クラシック音楽では近年特に「楽譜に忠実」であることが尊重され,20世紀中盤までの大指揮者による「解釈された」演奏は反省の対象とされてきました.昔に較べれば今はあっさりした演奏が多くなったのではないでしょうか.しかしティーレマンはそんな声にはおかまいなく,明確に「ここを聴け」と伝えてきます.前世紀の大指揮者達への先祖返りでしょうか.

そして第4楽章.ホルンのソロに導かれて出てくる有名な第1主題.ここも間の取り方が大きく,まったく音の鳴っていない時間に,「たのむから誰もここで咳をしないでくれ」と祈ることができるほどでした.そして最後のコラール.空から祝福の声が降ってくるようで,思わずウルっと来て鳥肌が立ちました.

おそらく一生ものの体験をしたと思います.アンコールはワーグナーの曲でした.これもお得意ですね.ティーレマンは来年も今度はウィーンフィルを率いて日本にやって来るそうです.ぜひともまた聴きたいものです.

ティーレマン+シュターツカペレ・ドレスデンのブラームス

先月21日,京都にシュターツカペレ・ドレスデンが来て,クリスティアン・ティーレマン指揮でブラームスの3番と1番を演奏するというので春先にチケットを購入していました.今年も関西圏ではいろいろな演奏会が開かれていますが,私にとってはこれだけは何があっても聴きたいコンサートでした.

シュターツカペレ・ドレスデン


どうしてもという理由は三つ.第一は,何よりもドレスデンの音を生で聴いてみたいということです.これだけの歴史あるオケの演奏を聴くのは初めてで,またこれから先再び聴ける機会があるかどうかもわかりません.同じドイツの伝統あるオケとはいっても,露出のきわめて多いベルリンフィルと較べ,旧東独に属したドレスデンのシュターツカペレは録音もそれほど多くは無く,しかし,いったん耳にするとその渋い響きが忘れられない魅力があったのです.

第二は,ブラームスの交響曲が聴けることです.クラシック音楽の経験の浅い私は,情けないことにブラームスの交響曲をまだ一度もライブで聴いたことがなかったのでした.特に第1番は感動的で,楽譜も買って眺めたりしていたのですが,今回やっとのことで生で聴ける,しかもシュターツカペレ・ドレスデンの演奏でということなので,行く前から好きな第1楽章と第4楽章が頭に鳴り響いています.

第三は,指揮が注目のティーレマンだということです.ドイツ・オペラの出身でワーグナーやリヒャルト・シュトラウスを得意とし,今年からドレスデンの首席指揮者となった生粋のドイツ人指揮者.カラヤン等との交流も深かったようです.音楽的血筋としてこれ以上ドイツ的な人はなかなかいないでしょう.もちろん世評も高いです.またブラームスの交響曲第1番は,この人が来日する度に演奏している十八番のレパートリーです. 
                                       つづく


プロフィール

choby

Author:choby
最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

カレンダー
10 | 2012/11 | 12
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
FC2カウンター