西宮でアレクサンドル・タローのピアノを聴く

1月23日(日)の午後,西宮の兵庫県立芸術文化センターでフランス人ピアニスト,アレクサンドル・タローのリサイタルを聴いてきました.

タロー

この人は一昨日聴いたグリモーや,ここでも触れたことのあるチェリストのジャン=ギアン・ケラス等とほぼ同年代です.今回の来日では,ソロでのリサイタルだけでなく,一緒に来日したケラスとの室内楽アンサンブルの両方の公演を行なっているようです.

会場は芸文センターに3つあるホールのうち,最も小さい小ホール.私は過去にここで聴いたいくつかの公演のすべてに良い印象をもっています.演奏者と聴衆の間の物理的および心理的距離が短いためでしょうか.

さて,細身のスーツ姿で登場したタロー.年齢よりはるかに若く見えます.この人は必ず譜面を置いて弾く人だそうで,譜めくりさん同伴.

最初はドメニコ・スカルラッティ.7曲セットのプログラムです.スカルラッティはバッハやヘンデルと同年の生まれですが,後の二人ほどには知られていません.リサイタルの演目に上る機会もそれほど多くないと思います.

私の敬愛する吉田 秀和氏がどこかで,ピアノ曲の中で自分で弾いてみたいとすれば,として挙げておられた何人かの作曲家のうちの一人がこのスカルラッティでした.それもあってぜひライブで聴いてみたかったのです.

何しろピアノソナタを数百曲も書いた作曲家です.演奏時間は多くが数分という短いものが多いようですが.自宅にあるアンドラーシュ・シフのスカルラッティ・ピアノソナタ集に収められている15曲のうち,この日演奏されるものは1曲もありません.

弾かれた7曲はそれぞれが異なった個性を持ち,あるものは洗練,またあるものは素朴さを感じさせて大変楽しいものでした.バッハの音楽はすべて神様に聴いてもらうために書かれた,とはバッハ研究で有名な礒山 雅氏の言葉ですが,同時代だがイタリア人のスカルラッティの音楽は,もっと直截的に今見えている世界を映しているように聞こえます.

次はベートーヴェンのピアノソナタ30番.全3楽章のうち,第3楽章がきわだって大きい特殊な構成を持つ曲です.私には中期の名作群に比べて草書的に感じられるのですが,タローの演奏もフランス人らしく「ベートーヴェンだから」という気負いのないものでした.

休憩をはさんで次はサティ.グノシェンヌ第3番,第5番,第1番をこの順で.続いてはラヴェルの「クープランの墓」.管弦楽曲としても演奏される有名曲です.

一昨日聴いたグリモーはアルバムのプログラミングが面白い人ですが,今日の演奏会も構成が凝っていると思います.一見脈絡が無いようですが,バロック期から古典/ロマン派を通って近代フランス音楽へ.ステージ上ではきさくな感じのタローですが,こういうところにも才気を感じました.

アンコールはショパン,バッハ,そしてクープラン.

出石手袋(CACA-ZAN)製のドライビンググローブを試す

11月末に直接お店まで訪問してオーダーしたドライビンググローブ.納品されました.冬用ということで手の甲のホールは一切無しです.

ドライビンググローブ

早速着けてみるとさすがにぴったりです.私の手は小さめで,既成のものだと親指が長すぎたりすることが多いのですが,これは一切そんなことはありません.試しに財布の中にある数枚の千円札の中から1枚を抜き出す,とか100円硬貨を1個だけ取り出すなどをやってみましたが,すべてOK.文庫本のページをめくることだってできました.

土曜が休めたので,お試しドライブに出発.気温8℃ですがもちろんオープン.まずは能勢町のカフェ Soto dining を目指します.人気店だと聞いていたのですが,さすがに厳冬期はそれ程混雑していませんでした.里山に広壮な一軒家を建て,その一階をカフェにした感じです.

Soto dining

ゆっくり昼食をいただいた後,グローブかここまで快適だったのでもう少し気温が低そうな場所へ(!)行こうと瑠璃渓へ.Soto diningの周辺もまだ雪が残っていたのですが,173号線をさらに北へ向かうと,道路の両脇とセンターライン上に残った雪の量が少しずつ増えていきます.瑠璃渓の駐車場にたどり着いたときには周囲は完全な雪景色でした.渓流沿いの遊歩道も完全に雪で覆われています.

遊歩道の雪

それでも,こんな場所を一人で走っている大型二輪に何台も出会いました.度胸があるというか,私なら来ることはないと思います.二輪の運転中に雪で転倒するときは本当に一瞬で,転び始めにスライドしたことにも気づかないうちに横倒しになっています.私は北海道の5月にこれを経験したことがあります.

そんなことを思いながら表面の一部が凍結しているダム湖の方を眺めていたら,目の前をシルバーのS2000が疾走していきました.サイドウインドウも下げてフルオープンです.流し撮りを試すヒマもなくシャッターを押した結果が以下.カッコいいですね.

S2000

二輪だって走っているのだからと,さらに北上して372号線へ出て,しばらく西へ走ってからまた173号へ乗って南下.

丹波路ドライブ中


周囲は完全な雪原状態ですが,路面はほぼ乾いています.それでも時々溶け残った雪に注意しつつ慎重な運転.外気温4℃ですがグローブのおかげで快適でした.まあ本当は空調に負うところが大きいのでしょうが,ドアをあけ,革製のグローブをしてエンジンをかける,という作業自体が儀式的で楽しいものです.良いものを手に入れることができました.

神戸でエレーヌ・グリモーを聴く

1月21日(金),夕刻から神戸文化ホールでエレーヌ・グリモーのリサイタルを聴いてきました.グリモーといえば,2009年5月にベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番を弾くというので私は1年前からチケットを取って楽しみにしていたのに,仕事のスケジュール管理が甘くて聴き逃していたのでした.

エレーヌ・グリモー

この容姿ですが,楚々としたピアニズムを期待すると強烈なカウンターを食らいます.1曲目はモーツァルトのイ短調のソナタ.緩急の付け方も著しいですが,とにかく音がでかい.タッチにバリエーションはあまりなく,一音一音が明確です.と書いてきて,最近こんなことどこかで書いたような・・・と思ったら,ミシェル・ペトルチアーニの項でした.ただしペトルチアーニとは違って指先を鍵盤に向かってほぼ垂直に立てて打鍵しています.「打擲」という言葉が頭に浮かびました.

感心したのは2曲目のベルク.20世紀の作曲家で,現代曲に属する作品です.私が持っているCDはヴァイオリン協奏曲だけですが,なかなか理解しきれていませんでした.しかしこのピアノソナタには目を開かれました.もちろん古典的な和声や歌えるような主題を期待することはできませんが,なんともクールな調性が次々と現れてきて,意味はわからなくともそれに身を浸しているだけで音楽的な満足感が得られます.Wikipediaの説明は以下.

『速度指定は『適度に、活発に』(mäßig bewegt)、4分の3拍子。
単一楽章のピアノ・ソナタで、ロ短調を主調とするが、四度音程の堆積からなる和音、半音階技法、全音音階の頻繁な多用によって、調性感は安定しない。伝統的なソナタ形式の枠組みに従い、呈示部、展開部、再現部の三部分から成り立っている反面、ブラームス流およびシェーンベルク流の「発展的変奏の原理」に依拠することで、冒頭の単一の楽想からすべての部分を派生させ、作品の統一感を確保している。』

この「調性感は安定しない」というところがミソですね.私は,だから美しいと感じました.暴論かもしれませんが,こういう音楽はチック・コリアやハービー・ハンコック,あるいはセシル・テイラーがやっていても全然不思議ではないので,ジャズファンなら受け入れやすいかもしれません.

さて,休憩をはさんでリストのロ短調のピアノソナタ.私,これ苦手です.何度聴いてもよくわかりません.4楽章構成ということですが,ずっと続けて演奏されるので30分くらいかかります.私にとっては構成をとらえにくくしている理由の一つです.何かが聴き取れそうで聴き取れない.いつもフラストレーションが溜まります.ライブで聴けば・・・と淡い期待をもって臨みましたがあえなく撤退.いつか理解できるのでしょうか.

最後はバルトークの有名なルーマニア民俗舞曲.ピアノ伴奏を伴うヴァイオリン曲として演奏されることも多く,なじみがあります.これは無条件に楽しめました.リストでくじけた心が最後に少し回復しました.このへんのプログラミングは巧みです.

なかなか手強いピアニストですが,その分歯ごたえがあって楽しめました.

BMW M3クーペ試乗

昨年暮れにBMWのディーラーからもらったDMに,Z4の35isやM3クーペに試乗できる旨が記されておりました.これは行ってみなくてはと思っていたのですが,3連休の直前からカゼをひいてしまいました.このままでは3日ともパーになってしまうかなと思っていたのですが,3日目になって咳がまだ残っているものの何とか快復したので,出かけてきました.

久しぶりに担当営業さんと会い,Z4isの方は残念ながらクルマが用意できないが,M3なら乗ってもらえるということで,コーヒーをもらってしばし待機.

M3は私にとって今のところ,屋根が固定されている時点で自分で購入して乗るクルマではないのですが,Z4isには乗れないようだし,420PS(!)というのがどんなものなのかもちろん興味があり,喜んで試乗させてもらうことに.

すると,担当さんが「今日はプロがお見えですから一緒に乗ってもらいましょう」というので,いったいどういう人かと思ったら,これがモータージャーナリストの菰田潔さん(!)でした.自動車雑誌というものを買ったことがない私でも,JAFメイトに「初心者でもやさしい縦列駐車の方法」みたいな記事を執筆されていることはよく知っています.

クルマは以下.右ハンドルのDCT.これなら私にもとりあえず動かすことくらいできそうですが,エンジンフードの盛り上がりがただごとではありません.

M3クーペ

いきなり助手席に菰田さんに座られ,担当営業さんは後ろ.こんなに緊張する試乗はなかなか経験できません.主にトランスミッションに関する説明をざっと受け,いよいよスタート.最初の左折で私の運転技術がすべてバレてしまいました.トホホ,こんなシロートの隣に座っていただいてすみません.

私も昔,ジムカーナの学生チャンピオンだった知人の運転するクルマの助手席に何度か乗ったことがありますが,そのあまりに美しいハンドルさばきにいつも感心させられたものです.特に戻しが美しい.「みんなハンドル切ることは切るんだけど,戻すのができないんだよね-」とその知人はよく言っていたものです.

こんな我流運転で高性能車に乗りたいと言った自分をかなり恥じつつ,しかしもう後には引けず,そのまま行きます.こうなったらヤケクソでMモードボタンをプチ.Z4でもほとんどやったことがないマニュアルモードに挑戦.アクセル感度も上がり,足も固くなります.

信号で前が空いたので,1速からフル加速.ところがこれがこわごわ踏むものでフルスロットルになっておらず,加速についていけない右足がゆるんで減速,あわてて踏んでまた加速,を繰り返し,アクセル開度一定にできません.

いやこれも恥ずかしかったです.ピークトルクの値は私のZ4 35iと大差ないM3のV型4リッター8気筒エンジンですが,アクセルレスポンスが上がっているので低いギヤでパーシャルなんて私にはとうてい無理.

普段から口先だけのことを言っていることが次々にバレてしまって針のムシロ状態ですが,それでも悔しいのでもう一回.今度は思い切って全開です.加速は強烈.3人も乗っているのにリアが左右に振れ,横滑りをかなり許していることがわかります.ちょうど,陸上100メートル走の選手がスタート直後に片足ずつ強く地面を蹴っているような感じです.それでも何とかまっすぐ走れてホッ.私より同乗のお二人が胸をなでおろしたことでしょう.

考えてみれば,私はZ4でSport+モードに設定したことはまだなく,ましてやその状態でフルスロットルを試したこともなかったのでした.

M3のカチッとした操舵感にも深い印象を持ちつつ,ディーラーの周りを一周する試乗は終了.クルマの中で話しているうちに当方が技術屋であることが伝わり,ショールームに戻ってからも長時間お話をさせていただくことができました.大変ありがとうございました.

冬期のロードスター

年末年始もあっという間に過ぎてしまい,ここもまたお留守になってしまってました.今年もできるだけ「好きなこと」だけを書いていくことができればと思っています.

さて,昨年11月末に香川県までドライビンググローブをオーダーしに行って以来,Z4での遠出をしなくなってしまいました.理由は,12月になって天候が変わりやすくなり,終日晴れの予報が出ている休日に当たらなくなってしまったことと,やっぱり寒い(!)ということでしょうか.気持ちよくルーフを開けられないのならドライブには出かけない,という基本スタンスでやっています.現在累積走行距離約4400km.

阪神間は,元来は地形の関係で冬でも温暖・小雨です.正月3が日など,だいたい3日ともカラッと晴れていて気持ち良いのが普通でした.ところが,ここ数年は正月の天候が不安定で,今年も午前中は晴れていても昼近くからは必ず曇ってしまうような天気でした.

ロードスターは冬がいい,というので楽しみだったのですが,曇天に小雪が舞うような日にはやはりあまり乗りたくなりません.2日には甲子園浜や鳴尾浜に行ってみたのですが,走って面白い場所ではなく,いつもよりは道路が多少空いていることを知ったくらいが収穫でした.

3日には有馬温泉に行ってみました.こちらは,1日に降った雪が有馬街道の道路脇にも残っており,山道を自在に走るには,やや自己抑制が効き過ぎてしまいます.何があるかわからないので,夏タイヤのままでは少し心配です.

というわけで,ここのところあまり外出の意欲が湧かないのですが,これまでの冬期オープン走行で感じたことを順不同で書き留めておきます.

  • 服装は,下はジーンズの下にユニクロのヒートテックのタイツ.上はコットンのシャツ+ウールのセーター+ピーコート+マフラー+アポロキャップ.要するにゴロンゴロンに着ぶくれています.寒がりなんで.
  • シートヒーターは必須.これがなければ冬場のオープンは無理(私たちにとって).
  • シートヒーターはありがたいが,太ももの上がやはり少し寒い.助手席の人は膝掛けを持ち込んでいる.これがかなり効くそうです.
  • サイドウィンドウは基本的に常時上げた状態.季節のいいときには下ろしていないとオープン走行の醍醐味がありませんが,今はそれではやはり寒いです.
  • 未だ納品されないグローブを待ちつつ,夏に買った暫定ダイエー指切り手袋をしていますが,手が冷たくて困ったことはまだありません.
・・・とまあ軟弱なことばかり書き連ねましたが,Z4はマツダ・ロードスターやポルシェ・ボクスターに較べるとはるかにユルいクルマですし,乗り手も生来蒲柳の質なので,ブログ名通り良い日和を待ちつつ無理しないことにします.

プロフィール

choby

Author:choby
最悪想定する傾向はあるでしょうね.でも石橋叩いているだけの人生はつまらない.

カレンダー
12 | 2011/01 | 02
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
FC2カウンター